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−ネットユーザーの戦い−2

中編5
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−ネットユーザーの戦い−2

俺は友人を待っていた。

場所は近くの駅前。

だが待っても待っても友人は来ない。

「どうしたんだろう?」

さらに一時間待ったがやはり来ない。

俺は頭にきて友人に電話をかけた。

「なんだお?」

「お前どこにいるんだよ!」

「駅前にいるお!」

俺はここで気が付いた。

友人の声が俺の背後から聞こえてきているという事に。

振り返ると友人はそこにいた。

「お」

「何が、お、だよ。着いたなら連絡しろよ」

「何でだお!俺の方が待ってたんだお」

「ふざけてんのか!」

「俺が来た時、お前はいなかったお」

「俺が来た時もお前はいなかったよ」

「俺の方が早かったお」

「いいや俺だ」

「ちょっと待てお。なんかおかしいお」

「何が?」

「二人共早く来てたんならどうして一時間以上も経過してから、お互いの存在に気が付くんだお?」

「確かにそうだな」

「つまりだお」

「つまり?」

「パラドックスだお」

「お前それが言いたかっただけじゃねぇのか!パラドックスって言葉をよ」

「…お」

「図星かよ」

「お!!!」

「今度はなんだよ」

「あれ見てみろお」

友人が指差す先には一本の木があった。

「木がどうしたんだよ」

「俺達はあの木の下で待ち合わせしてたんだお!」

「だから何?」

「俺達はあの木を挟んで背中合わせで立っていたからお互いの存在に気が付かなかったんだお」

「………あーーー!!!ミスったあー!」

「木に邪魔されたお!お!」

「……でも待て、それでもどちらが早く来ていたかという問題が消えた訳じゃないよ」

「もういいお!木で邪魔されていた以上は、そんな事わからないお」

「そもそも一時間以上立ってるのに連絡もしなかったお前はどうなんだよお前は!」

「かけたお」

「は?どう考えたって、俺がかけたぜあの電話は」

「俺もかけたお」

「嘘つけ」

俺はそう言って着信履歴を確認した。

「なー!!かかって来てる!お前から!しかも俺がかけた時間と同時刻に」

「だお!かけた時間がちょっとズレただけだお!発信した瞬間お前からかかってきたんだお」

「そうだったのかすまなかった」

「もういいお」

その時。

「お前らさっきからうるせぇーぞ」

不良グループが俺達に文句を言ってきた。

「黙れお」

「え?…お前」

俺は友人が不良グループに言い返すのを見て驚いた。

「んだとコラァ!?」

「お前やめとけって…相手は不良だぞ!」

「んだとコラァ!?誰が不良だとコラァ!?」

「あ…すみません…」

「お前らこのあたりで帰った方がいいお」

「あ?」

「てめぇー殴られたいのか?」

「いいお!でも殴れたらの話しだお」

「は?」

そう言って友人はリュックからPCを取り出し、ある大型BBSにアクセスした。

2ちゃんねるだ。

友人は「2ちゃんねら〜」と呼ばれる2ちゃんねる住民に、応援を要請した。

すると友人のスレに多数のレスが書き込まれた。

「お前の為なら行くお!」

「場所は?」

「こういう子供騙しって馬鹿のやる事だよね。みんな相手にしちゃダメダメよ……でも主の為なら行くよ」

「家にロケット砲あるからいつでも行けるお」

友人は、レスした全員に状況と場所を教えて、PCを閉じた。

「おいコラァ!お前何やってたんだ?」

「何もしてないお」

「ふざけてんのか!!」

そう言って不良が友人に拳を振り上げた!

その時だった!

ドカァァ!

何かが不良にぶつかった。

「ってぇな誰だ!?」

「俺の友達を殴ったら許さないお!」

そいつは言った。

「誰だテメェ!」

「2ちゃんねら〜だお」

俺は呆気にとられていた。

「よく知らねぇがよ!叩き潰す!!!お前らやっちまえ」

その言葉で20人くらいの不良が一斉にこっちに走りながら向かって来た。

「ぬこたん聞こえるか!応答せよ」

なぜか無線を持っている。

「こちらぬこたん」

「よし!不良グループの目の前にロケット砲を打ち込んでくれ」

「了解!」

その時だった。

シュゴゴオオオオ!!!

俺の頭上をロケット弾が通過した。

そして。

ズガァァァァァ!!

弾は不良グループの前に落ちて、不良達を何人かぶっ飛ばした。

俺はわけがわからない。

友人は普通にそれを見ている。

「お前何したんだよいったい!」

「仲間を呼んだんだお!」

「仲間?」

「そうだお!一番最初に現れて、不良に体当たりし、無線で連絡をとっていたのがHN「あの子は俺の嫁」だお」

「は…はぁ…」

不良グループはまだ向かって来る。

「イーグルアイ応答せよ」

「こちらイーグルアイ。現在目標地点から800m離れた我が家の二階にいます。」

「目標は確認できるか?」

「窓からスナイパーライフルのスコープで目標地点が目視できます」

「一番先頭にいる青い服の奴を狙撃してくれ」

「了解です!」

ドス!!!

「うわあああ!痛いよ!!」

ライフルの弾が不良の足に当たる。

頭は当たり前だが狙っていない。

その時だった。

「うおぉぉー!」

大勢の人の声がした。

声の方向に目を向けると、沢山の人がこちらに走って来ていた。

「ヤベー逃げるぞ!」

走って来ている人達は30人くらいだ。

不良グループはボロボロにの姿で逃げていった。

ここでBGMが流れた。

パパパパーンパーンパーンパッパパーン

なぜかFFの戦闘勝利のBGMだ。

不良グループを倒した。

全員10000の経験値をもらった。

イーグルアイ以外誰もレベルアップしなかった。

「大丈夫か!」

何人かが友人に声をかける。

「ありがとうだお!大丈夫だお」

「え…どういう事?」意味がわからない俺。

「お前は大丈夫かお?」友人が俺に聞いてきた。

「あ…ああ大丈夫」

「あなたは「お!」の友人ですか?」

「何「お!」って?」

「この人ですよ」その人は友人を指差して言った。

「…え?」

「お前は知らなかったかも知れないけど、俺は2ちゃんねるやってて、HNが「お!」なんだお」

ここで俺はようやく全てを理解した。

「あ!ああ…そういう事か!うんそうだよ、「お!」の友人だよ」

「そうでしたか!無事でよかった」

「ありがとう」

「お前も2ちゃんねる始めるかお?」

俺は一瞬迷った。

でも何だか面白そうだからやる事にした。

「よし仲間が増えたお!」

周りの2ちゃんねら〜達も嬉しそうだ。

「では「お!」、俺達はこれで帰るお」

「おうありがとうだお!」

そう言って2ちゃんねら〜達は帰っていった。

彼らがいなくなった駅前で俺と友人は話しをしていた。

「彼らとはどういう関係?」

「あいつらとは少し前に、一緒に戦ったんだお!ババアを相手にだお」

「よくわからんがそうなのか」

それから俺は2ちゃんねるを始めて、友人を含む、あの時の2ちゃんねら〜達と掲示板で仲良く話しをしている。

俺はみんなが好きだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん  

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