私は幽霊とか全然信じてなかった。
もともと霊感なんてないし、周りに見える人もいなかったし。
だから、心霊スポットなんかもあまり怖いとは思わず、友達と3,4人で散歩みたいに行ってた。
その時も、3人で軽い感じで遺跡に入った。
見た目が遺跡みたいに見えるだけで、本当に遺跡かは分からない。
ちょっとした森の奥の方にある、こじんまりとした洞窟みたいな所。
別に心霊スポットってわけでもないし、観光地でもないから、ずっと放置されてるって感じの場所だった。
それがまたミステリアスでいい雰囲気だったから、私たちはすっかりテンション上がってた。
「うわあ、なんか下手なスポットより出そうじゃん」
「Eちゃん、よくこんなトコ見つけたね」
「この近くの村に引っ越した友達がいてね、その子が教えてくれたんだよ~」
中は狭くて暗い、湿った場所だった。
コンビニで調達した懐中電灯で足元を照らし、まっすぐ進む。
ただの一本道。
「あれ、行き止まり?」
「ホントだ、なにあれ?」
先頭のEとYが、行き止まりの岩壁に近づく。
「見て見て、なんか門みたい」
岩壁の前には、きれいな長方形の岩が二つ、1メートル程の間隔で横に並んでいた。
高さは2メートルくらい。
分厚くて、あきらかに人の手で切り出されたもの。
「門っつっても、後ろ何にもないじゃん」
Yがふざけて、岩と岩の間に入る。
「いぇ~い」
「なにやってんの~w」
岩の間で無意味なポーズをとるY。
なんてことない友人たちの笑い声。
「一通り見たし、帰ろっかあ」
Yが岩の間から出ようとした瞬間、門が閉まった。
一瞬だった。
何が起きたのか分からない。
私とEはただそこに立ちすくんでいた。
「・・・・・・Y?」
返事は無い。
ぴったりと閉じた門の間から、じわりと血が溢れる。
「きゃああああああ!!!」
ほぼ二人同時に、出口へ向かって一目散に走り出した。
その後、警察が来て6人がかりで門を開けた。
・・・そこには何も無かった。
血のあとも、Yの体も、何も・・・・・・。
私とEの話は右から左に流され、真面目に聞いてくれる人などいなかった。
結局Yは行方不明となり、今も見つかっていない。
警察は私とEを疑い、同じ質問を繰り返した。
Eは事故だと警察に主張した。
大きな声を出したせいで、遺跡が振動したせいだと。
でも、それじゃYの遺体が見つからない説明がつかない。
説明がつかないのはそれだけじゃない。
Eの言っていた村なんて、存在しなかった。
当然、あの遺跡のことを教えたEの友達もいないことになる。
あの日、私たちはどこへ行き、何が起きたのか、今も何一つ分からない。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話