【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

死の遺跡

私は幽霊とか全然信じてなかった。

もともと霊感なんてないし、周りに見える人もいなかったし。

だから、心霊スポットなんかもあまり怖いとは思わず、友達と3,4人で散歩みたいに行ってた。

その時も、3人で軽い感じで遺跡に入った。

見た目が遺跡みたいに見えるだけで、本当に遺跡かは分からない。

ちょっとした森の奥の方にある、こじんまりとした洞窟みたいな所。

別に心霊スポットってわけでもないし、観光地でもないから、ずっと放置されてるって感じの場所だった。

それがまたミステリアスでいい雰囲気だったから、私たちはすっかりテンション上がってた。

「うわあ、なんか下手なスポットより出そうじゃん」

「Eちゃん、よくこんなトコ見つけたね」

「この近くの村に引っ越した友達がいてね、その子が教えてくれたんだよ~」

中は狭くて暗い、湿った場所だった。

コンビニで調達した懐中電灯で足元を照らし、まっすぐ進む。

ただの一本道。

「あれ、行き止まり?」

「ホントだ、なにあれ?」

先頭のEとYが、行き止まりの岩壁に近づく。

「見て見て、なんか門みたい」

岩壁の前には、きれいな長方形の岩が二つ、1メートル程の間隔で横に並んでいた。

高さは2メートルくらい。

分厚くて、あきらかに人の手で切り出されたもの。

「門っつっても、後ろ何にもないじゃん」

Yがふざけて、岩と岩の間に入る。

「いぇ~い」

「なにやってんの~w」

岩の間で無意味なポーズをとるY。

なんてことない友人たちの笑い声。

「一通り見たし、帰ろっかあ」

Yが岩の間から出ようとした瞬間、門が閉まった。

一瞬だった。

何が起きたのか分からない。

私とEはただそこに立ちすくんでいた。

「・・・・・・Y?」

返事は無い。

ぴったりと閉じた門の間から、じわりと血が溢れる。

「きゃああああああ!!!」

ほぼ二人同時に、出口へ向かって一目散に走り出した。

その後、警察が来て6人がかりで門を開けた。

・・・そこには何も無かった。

血のあとも、Yの体も、何も・・・・・・。

私とEの話は右から左に流され、真面目に聞いてくれる人などいなかった。

結局Yは行方不明となり、今も見つかっていない。

警察は私とEを疑い、同じ質問を繰り返した。

Eは事故だと警察に主張した。

大きな声を出したせいで、遺跡が振動したせいだと。

でも、それじゃYの遺体が見つからない説明がつかない。

説明がつかないのはそれだけじゃない。

Eの言っていた村なんて、存在しなかった。

当然、あの遺跡のことを教えたEの友達もいないことになる。

あの日、私たちはどこへ行き、何が起きたのか、今も何一つ分からない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ