あるタクシードライバーの話
とある地方の田舎で、道路脇で手を上げていた、見た感じひ弱そうな初老の夫婦を拾って乗せた。
この地に移り住み、10数年タクシーを流してるが、初めて見る夫婦だなぁなんて思いながら、運転しつつその夫婦とたわいもない会話を交わしていた。
それから10分程たった頃だろうか。
ある交差点にさしかかり、信号に引っかかった。
田んぼや畑が広がり、所々民家が点在するのどかな田園地帯なのだが、一年前に痛ましい交通事故があったばかりの現場だったのだ。
そんな事を思い出していたら、いきなり
「ドカーーン!!」
と車体に凄い衝撃が
走った。
どうやら、かなり激しくお釜を掘られたようだった。
運転手は、何だか嫌な予感がして、客の夫婦の様子を伺った。
「お客さん!大丈夫ですかっ!?」
運転手は次の瞬間 ゾッとした。
バックミラーに旦那の方が写ってなかったのだ。
奥さんを見ると、通常ならばスカートから覗いてる筈の、膝から下がなかったのだ。
『ああ…ああ…ジーサンがいない…バーサンの足がない…ガクガクブルブル…』
恐怖のあまり硬直していたら、後ろのシートの隅の辺りから
「うぅ…うぅ…うぁぁ
怖い話投稿:ホラーテラー まさなさん
作者怖話