これは私がスキューバを止めたきっかけになった出来事です。
その日
湾からボートで10分程の沖合いの海底で、派手な模様の石鯛の稚魚をボーっと眺めていると、
ボンベと心臓の鼓動しか聞こえないはずの海底で突然、男性の微かな声が聞こえてきました。
声は
基本的に無音のはずの海底で、
私の鼓膜でなく意識に直接訴えかけるような囁きで
「…するな。」
「…するな。」
「…するな。」
と呼びかけてきます。
私は半分パニックになりボートまで必死にもがきました。
初めは小さく聞き取りにくかった男の声ですが、
海面近くになると、
ほとんど叫び声の様にはっきり私の頭の中に
鳴り響いていました。
「息するな!」
「息するな!」
「息するな!」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話