私が大学時代に体験した話です。
心霊関係ではありません。
私は大学に進学してからマンションで一人暮らしを始めましたが、しばらくしてから部屋に異変を感じるようになりました。
帰宅すると、何か違和感を感じる....
駐輪場に原付を停めていると視線を感じる....
しかし、学生の私は、どうしていいか分からず、友達に相談したり、彼氏に家に来てもらったり、といった対策しかできませんでした。
ある日、入浴を済ませて部屋に向かおうとした時です。
どこからか視線を感じました。
音がした訳でもないのに、浴室を出てすぐに見える玄関の新聞受けが気になってしかたないのです。
そのまま、ゆっくり、ゆっくり玄関に近付きました。
そうっと、玄関の覗き穴から外を見ると、誰かが新聞受けから中を覗いている背中が見えました。
怖くて、怖くて、そのまま息を潜めて奥に後ずさり、彼氏に連絡して、すぐ来てもらいました。
彼氏が来た時には、犯人らしき人は中を覗くのを諦めて、立ち去る所でした。
捕まえることはできませんでしたが、誰かが何かをしようとしている!
これだけは、はっきりしました。
それからは、彼氏になるべく部屋に泊まりに来てもらい、『彼氏がいる』ということを、周りにアピールして対応しました。
そんな、ある日。
私は見てしまいました。
私が珍しく早い時間に帰宅すると、私の部屋から出て来る男の姿を。
その男は、私が住むマンションの大家でした。
その大家は、私が引っ越すと、『進学祝い』だと、エアコンを付けてくれたり、
『物騒だから』と防犯システムのステッカー(こけ威しにはなるから)をくれたり、とても良くしてくれており、しかもマンションの最上階に家族と住んでいて、奥様や娘さんもいました。
だからこそ、まさか....と信じられませんでした。
その場から、気付かれないように立ち去り、事情を話して、その日は彼氏と共に帰宅しました。
翌日、マンションを掃除する大家を彼氏に遠目から確認してもらうと、新聞受けから覗いていた時に、立ち去っていた男と同一人物でした。
それでも、当時は、今ほどストーカーに対する法律などはありませんでしたし、何より怖かったので、『もっと学校に近い所に住む』という理由で、引っ越しました。
社会人になってから知り合った不動産屋の友人に、この話をすると、
『その大家、知ってる。うちの店の、その大家の物件には[大家変態]と注意書きがあった』
と言われました。
今でこそ、ストーカー規制法ができたり、対策の知識が普及していますが、それが無く、なんの知識も無かった学生時代、本当に怖かったです。
皆さんも賃貸物件には気をつけて下さい。
怖い話投稿:ホラーテラー ひなさん
作者怖話