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短編2
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誰も幸せにならない

東京都心のあるバーにいる占い師から聞いた話。

幽霊はでてきません。

後味が悪いです。

それでもよければ・・・

その占い師さんは本業がバー経営。

色んな地方を転々としながら、気が向いたらお客さんの運勢を占っていた。

その中に1人だけ忘れられないお客さんがいると教えてくれた。

「今から10年くらい前、ふらっと店にやってきた女性で年齢は40代。

女性の一人客は今より少なかったから、それだけでも印象に残ってる」

梅雨の頃。

その女性は雨の中傘もささずに来たようで、ずぶ濡れだったそうだ。

占い師がタオルを差し出すと

「○○さん(占い師の名前)ですか?」と聞いてきた。

なんでも占いが当たると人づてに聞いて、

わざわざ隣の県からやってきたそうだ。

普段占い目当てのお客さんは断っていたのだが、その時は可哀そうで、見てあげたという。

その女性は夫婦でアパート経営をしている資産家で、

相談は「旦那の浮気」

どうにか別れさせたい。旦那の気持ちを自分に向かせたいというものだった。

「多いんだよね。そういう依頼。それってもう占いじゃなくて超能力。そういう力はないから、

「私は未来の為に今何をすればいいかアドバイスをするだけです。それでもいいですか?」

って何度も聞いた。

そしたらそれでいいって言うから」

閉店後占ってあげたのだという。

「もう最悪。何回やってもだめ。悪いことしか見えない」

目の前の女性はカードが裏返されるのをじっと眺めている。

「占うときって結構体力要るから、自分が疲れてるのかなって思った。

さすがに悪いことしか見えなくて、励ますこともできなそうだから、

その日は帰ってくださいって言ったんだ。」

女性に店の傘を貸すと、小さくお辞儀をして店を出て行った。

「女性のお客さんは、自分にとっていい結果が出るまで何度も来て、

‘ストーカー’みたいになっちゃう人が多いんだ。

だからその人もそうかもしれないなと思ってた。」

しかしその女性はそれから1か月経っても店には来なかった。

「はじめは誰かと思った。でも手に持ってる傘でわかったんだ。

昔カンヌに行ったとき買った傘だったからあんまり日本にない柄で、一発で思い出した。

あの雨の日に来た女性だって。」

女性が再び店に現れたのは、夏も終わりの頃だった。

ずいぶんとやつれたようで、雰囲気に荒んだ感じがにじんでいた。

その日はなぜか常連客も全く来ず、暇だったので早々に店を閉めて女性を見てあげることにした。

「実はあれから・・・」

旦那の怪しい行動はなくなったのだという。

行き先不明の外出も減り、むしろアパートの清掃や管理に精を出すようになった。

そんな旦那の姿に、女性はすっかり安心していた。

「でも違ったんです。旦那の浮気相手、私たちのアパートへ引っ越してきていたんです」

すいません

続きます

怖い話投稿:ホラーテラー 合法さん  

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