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短編2
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開けろーっ!

うだるような暑さの中、俺は何かの物音で目が覚めた。

時刻は、もう昼を回ったところか。

頭はまだボーッとしている。

完全に覚めきらぬ頭をゆっくり動かし、俺は物音の方に目をやる。

…そこで、一気に俺の目は見開かれた。

窓の外に、見たこともない男が顔を押し付けるようにして、俺を覗いていたのだ。

「…ぅお゙ぉーーお゙…!」

 お゙ぉおーーーぃ!!」

―ドンドン!ドンドン!

男は何か叫びながら、窓を叩いたり、無理矢理開けようとしている。

その恐ろしく歪んだ形相に、俺は恐怖で体が固まった。

―ドンドンドン!

―ガチャ!ガチャガチャ!

おいおい、お前誰だよ?

てか、そもそもそこから顔を覗かせるって、どんだけ背が高いんだよ?

俺が縦に2人並んだとしても、そんなとこ届かねーぞ?

そんことを妙に冷静に考えながら、体を動かそうとしたが…。

ああ…案の定、動かない。

手足だけは、かろうじて動くが、まるで何かで縛り付けられたように動けない。

声を出そうとした。

…出ない。

なぜか喉がカラカラで、しわがれたような掠れた声が、かろうじて絞り出せる程度だ。

これも、あいつの仕業か?

「ゔおぉおーーーーっ!!

 …開けろー!開けろー!」

男は、必死の形相で窓を叩いている。

―ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!

バカ野郎。

開けられる訳ないだろうが。

そんな悪態をつきながらも、おれの意識はまた飛びそうになっていた。

全身は汗でぐっしょり濡れている。

情けないが、こんなときに頭に浮かぶのは、母親の顔だ。

人間、いくつになっても最後は、母親に抱かれた記憶に戻るのかなー…。

激しく窓を叩く音を遠くに感じながら…俺は気を失った。

     ―――――――

「…あっ!やっと救急車が来た。

 おーい!こっちです!

 この車です!!」

「…可哀想に。

 こんな赤ちゃんを炎天下に駐車場に置き去りにするなんて…。

 あー…良かった…。

 まだかろうじて息はありますね。」

怖い話投稿:ホラーテラー 海星さん  

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