大学の友人から聞いたドラマのワンシーンのような話。
高校三年の春、彼は幼なじみを事故で亡くした。
病院から幼稚園、小学校と中学校、高校と小さい頃から一緒だった。しかも同じ大学まで受けていたそうな。
ちなみに女の子だそうで、彼は彼女の事が好きだったそうだ。だが別に二人は付き合っていたわけでもないのであしからず。
で、それが酷くショックで不登校になってしまった彼はある日夢を見た。
視界に広がったのは、どこか懐かしい朝焼けの草原。
あれは確か、中学校の時か。幼なじみの彼女の家族と一緒に旅行へ。次の日に二人で早起きをして、森を抜けてこの場所を見つけた。
前日に地元民にここを聞いて、一緒に見に行こうと彼女と約束をしていたから。
そこに、彼女がいた。
状況の掴めなかった彼はしばらく呆然としていた。
いや、その場に縫い付けられたように体は動かなかった。
話したい事はいっぱいあった。まだ伝えてない事もあった。
なのに、口まで縫い付けられているのか。
無言で互いに見つめ合って、恥ずかしげに彼女は笑った。
一番好きだった表情で、大好きってさ。
そうして、彼は目を覚ました。
そんでバカみたいに泣きはらした。
彼も俺と同じくオカルトは信じない質だが、夢だとしても彼女に伝えたかったとさ。
俺も大好きだ、って。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話