長文ですが自分が若い頃経験した実話です。
30年程前、自分が大学一回生の時の話です。
四国の地方都市。
温泉や四国八十八ヶ所の有名なお寺等、いくつかの寺が並ぶ路線のアパートに住んでいました。
自分は中1の時を皮切りに頻繁に金縛りに遇う少年期でした。
大学一年の秋の日の深夜、夢から覚めると同時に、あの恐怖感と共に金縛りが押し寄せて来ました。
経験のある方なら金縛りになる直前に来る恐怖感が解ると思います。
金縛りになると同時に…体は動かず目もつむっているのに…自分の視覚がちょうどベッドに座った高さあたりからアパートの玄関を見ているのです。
その時金縛りになって幽体離脱している事に気付きました。
目は座って玄関を見ているのに体は大の字で仰向けに寝ています。
ヤバい!無防備過ぎると思った瞬間、玄関から着物を着た婆さんがドアを開けず、通り抜けて入ってきたのです。
ヤバい!!大の字で動けない!
部屋の仕切りにしていたブラインドをくぐってどんどん婆さんが近づいて来る!
ドアは開けずに入って来たのにブラインドはくぐるのか?と妙に冷静に観察しながらも抵抗すら出来ない恐怖感に押し潰されそうになっていました。
やがてベッドの側まで来た婆さんは凄い形相で浮いたかと思うと自分の腹の上にスゥーっと飛び乗り、馬乗りになって鬼のような形相で覗き込んでいるのです。
その瞬間に自分の視覚は体にもどり自分の目から婆さんを見上げるという恐ろしい展開になって…
そして婆さんはとうとう大の字になった自分の両手首を恐ろしい力で掴み上から押さえつけました。
もうこれはなんとしても抵抗しなければと思い、金縛りのままならない動きでも力を振り絞って、自分の手首を思いきり曲げて視覚で見えている婆さんの手首を掴み返しました…
その瞬間恐怖の絶頂に!!
視覚的には着物を着て肉体があるように見える婆さんの手首は…
カサカサのチョークのような手触りの…
細く硬い…
…骨!!
掴み返した事を後悔しながらも、もう余りの恐怖と開き直りでその骨を掴んで動かない体で狂ったように暴れまくりました。
それが何秒なのか何分なのかも全く判りませんが…
諦めたように視覚から婆さんが消えると同時に…
今まで骨を掴んでいた自分の手がグッと空を握りしめました。
…という事は今まで掴んでいた物体が消えて無くなった証拠
…掴める筈の無いものを掴んでいた恐怖が押し寄せ出来て
…今まで出した事もないような低い声で絶叫していました。
急いで電気は点けたものの、しばらくは放心状態でした。
その後1年間そのアパートで様々な霊体験をしました。
さすがに堪らなくなって引っ越してからも金縛りには遇い、必ず何か霊が現れましたが回数は激減しました。
今考えれば何百年と行き倒れのお遍路さんや無縁仏の多かった土地柄で、間違い無く霊道の上に住んでいたのだと思います。
まだまだ数え切れない程の霊体験がありますので、少しずつ投稿致します。
怖い話投稿:ホラーテラー 宮大工さん
作者怖話