春から夏に変わる頃、穏やかな陽射しの下、友人の子供(K君)と公園の砂場で一緒に遊んでいた。
二人で砂山を作ってトンネルを掘っていた時、靴の中に砂が入ったのだろうか?
K君が片方の靴を脱いで中を一生懸命に覗き込んでいる。
(さあ、どうするK君?)
と思って見ていたら、覗き込んで嬉しそうに笑っている。
「K君、クック(靴)に何が入ってるのかな?僕にも見せてくれる?」
砂に混じってガラス片や犬か猫のウ○コが入っていたらマズいと思い、K君に靴を見せてもらった。
だが、覗いてみた靴の中は、きめ細かな黄褐色のただの砂だけだった…。
「うわー、クックに砂が一杯入ってるね!キレイにしようか?」
私が靴を逆さまにして中から砂を出そうとすると
「ダァーダッ!」
K君はそのまま靴を返せと言う。
自分でやりたいのかな?と思ってK君に靴を返すと、またニコニコと嬉しそうに靴の中を覗き込んでは楽しそうにしていた。
『K君、そろそろ帰ろうか〜?』
男同士の遊びを見ているのに、そろそろ退屈してきたのだろう…K君のママがやって来た。
『どうしたんK君?クックに何か入ってるの?』
「多分なぁ、靴を持ってる手を動かしたら中に入ってる砂が動くやろ。K君はそれが面白いみたい(本当は違うけど…)」
『あーそう、でもK君、もうお家に帰るから、ソレはまた今度にしようか!?』
そう言って、嫌がるK君から靴を無理矢理取り上げて
『クックの中にお砂が一杯入ってるね〜バッチイからキレイキレイしとこね!』
有無を言わせぬその様は、まるで鬼神の如し。
「ぅうぁぁああーん!!」
公園の砂場にK君の靴の中から、砂が容赦なく振り出されて落ちて行く。
砂場の中の比較的粗い灰色の砂の上に靴の中から降り注ぐ砂を、K君は四つん這いになって必死に掻き集め様としていたが、その行為は鬼神によって迅速に無力化されてしまった。
『あーもうっ、Kッ!いい加減にしぃよー、服が砂だらけになったでしょ!!』
服についた砂を乱暴に叩き落とされてから抱きかかえられた彼は、ママの肩越しに泣きながら、砂場に向かって必死に手を伸ばしていた…。
その後、K君があの公園にある砂場で小人か?妖精か?私には分からないが、子供の時にしか見つける事が出来ない大切なものを、再び見つける事が出来たのかどうかは、彼がもう少し大きくなって、お喋りが上手になってから聞いてみようと思う。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話