中編4
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運転する地縛霊

長文の実話です。

これは30年以上前…私が中学生の頃、母親の友達に起こった現象です。

彼岸花が咲いていた記憶があるので初秋の…9月の終わりか、ちょうど今頃だったように記憶しています。

その日は夕方から、母の友達のNさんがうちに来る事になっていました。

携帯電話等、勿論無い時代ですので、家を出る時にNさんに電話をして貰って母と到着を待っていたのです。

時刻は夕方の4時過ぎでした。

4時半までには来る筈なので、その時母はお茶の用意を始めていました。

しかし30分経っても1時間経っても彼女は来ません。

心配になって母はNさんの家に電話しましたが、家族も外出中なのか誰も出ません。

うちから彼女の家までは車で15分位なので、ちょっと寄り道したとしても30分以上かかる事はない筈なのです。

連絡がつかないので心配しながらも、さらに一時間待っている間に、もう外は暗くなっていました。

何度電話しても誰も出ないし。

6時を過ぎていよいよ心配になった母が、また電話しようとしたその時、玄関で声が。

顔色の悪い…いつもとなにか様子の違うNさんが、弱々しい声で遅くなった事を謝りながら玄関に立っていました。

心配していた事を母が何度も彼女に告げながらも「まあまあ取り敢えず…」とNさんを居間に上げて熱いお茶をすすめ、尋常ならざる様子の彼女を気遣っていました。

熱いお茶で人心地がついたのか、混乱している様子のNさんが「何から話したらいいか…」と話し始めました。

彼女の話では…

電話の直後にNさんの家を車で出て、いつも通る道を何事もなく我が家に向かって走っていたそうです 。

橋を渡りうちから1km位の所の交差点(一時よく事故のあった)にある墓地の所で信号待ちした事までは、はっきり覚えているらしいのですが…

その後2時間程の記憶が全く無く…

次に記憶(意識)が戻った時…

対向車のパッシングでハッと気が付き、その時はもうすっかり日が暮れて暗くなった川の土手道を走っていたと言うのです。

その土手道はうちからも墓地からも500m位離れた場所で、墓地の横を通ってからそこで気が付くまで2時間弱、全く記憶が無いと言う事なのです。

しかも記憶が無いだけで事故も起こさず車で走り続けていたという事になります。

車のメーターで確認すると50km以上走っていた事が判りました。

それまで全く霊感も霊体験も無かった彼女は、今迄の自分の常識では自分に起きた現象を理解する事が出来ず、完全に放心とパニックが同時に来たような状態でした。

実は私の祖母が強烈な霊媒体質で、一時期、祖母に色々なモノが降りてきていたのを知っているNさんは、何でもいいから少しでも辻褄が合う、自分が納得出来る答えを私達親子に求めていたようです。

私が金縛りにあったのは中学からですが、それまでも幼少期から様々な霊体験のあった私には、その時まだ子供ながら(子供だからか)彼女に起こった現象には確信があったのです。

それはこういう事です。

我が家に向かっていたNさんが4時半前に墓地の横で信号待ちしていた瞬間、憑依以外ではその場所から動けない霊(地縛霊)が彼女に憑依し、自分の気持ちが残ったどうしても行きたい場所迄彼女の体と車を使って移動した。

その場所に来て目的を果たした地縛霊が、他の誰かに憑依するとか、何らかの方法で彼女から離れた。

それが彼女が土手道で対向車のパッシングで気が付いた瞬間だった。

という事です。

記憶が無くなった場所を聞いてピンとはきていましたが、2時間もの間記憶もないような状態で、無事に50kmも運転していたという事は生前車の運転をしていた霊だったのだと思います。

そんな事を中学生の私は確信していましたし、今もそう感じています。

しかしその時は本人にそんな事は言えませんでした。

当然の事ながら彼女も母も脳や神経(脳疾患による記憶障害)や精神的な原因に不安を感じていたので、帰宅していたNさんの家族に来てもらい、代わりに運転して連れて帰って貰いました。

その翌日、彼女は脳神経外科で受診しましたが何の異常も認められなかったそうです。

10年位経って、私が大人になってから上のような憑依の話をした時、彼女は今更のように妙に納得していた事を思い出します。

それから30年以上、彼女は何の不思議な体験も脳疾患もなく過ごしています。

それが私達にとっては一番に嬉しい事ですが。

実は私も同じような体験をしているのです。

1分程の短いもので比べようもありませんが、凄く不思議な感覚でした。

それは出来れば又、後日、投稿したいと思います。

実はこれを書いている今、ちょっと部屋で嫌な音がし始めましたので今日はこの辺りで止めておきます。

嫌な空気の中、焦って書いた為、誤字脱字、解りにくい文章がありましたらお許し下さい。

怖い話投稿:ホラーテラー 宮大工さん  

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