彼氏とその友達の体験です。
霊的な怖い話ではありません。
その日の夜は私と彼氏とその友達Aの三人で、私達のマンションで飲んでいました。
話も盛り上がって気づくともう2時過ぎ・・・
そろそろ帰るかという事になって、その辺まで送ってくよと言いながら二人は5階の部屋を出て行きました。
私は上から手でも振ろうと思って、ベランダに出て二人が見えるのを待ちました。
でもいつまでたっても二人はマンションの前の道に出てきません。
あれ~?玄関あたりで話でもしてるのかなあ・・・と思いながら私は諦めて部屋に戻りました。
30分程経過。その間もちらちらベランダに出てはみるものの二人の姿は見えず・・・。
まだ話足りないのかなあ。ちょっと様子見に行こうかな。でも、男同士の話とか??
などと考えながらも、酔っ払って動けなくなっていたら困ると思い、結局外へ。
エレベーターのボタンを押して待っているとケイタイに着信が。
A君?どしたんだろ。
私『もしもし?今ねぇ丁度外に行こうとしてて・・・』
A『今ダメ!!部屋戻って早くカギ閉めて!』
私『なに?どしたの?』
A『マンションの前に変質者がおってさ、今K(彼氏)は警察としゃべってはるわ。
警察も5人くらいいてるから一応は大丈夫やわ。
でもまだそいつ玄関前におんねん。今こっからは見えんけどな。
もうちょっと待っといて。ごめんな。じゃあ。』
といって切れてしまいました。
とにかく待つしかないので待つ私。
さらに1時間くらい待って、やっと戻ってきた二人から事情を聞きました。
というか、
興奮しきった二人は部屋でもうその場の空気になりきって
臨場感あふれる状況説明をしてくれたわけです。
朝四時にもかかわらず。
以下、Kの目線で出来事を書きます。
エレベーターで1階に降りた二人は自動ドアへ向かった。
自動ドアはマンションによくあるオートロックタイプのもの、外からは鍵が無ければ勝手に入る事ができない仕組み。
それと自動ドアは下半分がスリガラスになっていた。
Kが前を歩き自動ドアの前に立つ。開かないドア。
もう一度さがる。前に立つ。開かない・・・
??
すると後ろからAが無言で近づき
Kに目線で下を見るよう促す。
Kはここで初めて気づく。
下の方、スリガラスに透けて見える、人影・・・?
ゆっくりと一歩さがる。ガラス一枚隔てて、何か変なもんが向こう側にいる・・・!!
二人はゆっくりと音を立てないように後ずさり
廊下をL字に曲がってエレベーター前に戻る。
・・・なんじゃありゃ?
もう一度二人は影からこそっと自動ドアを確認。
やっぱいる・・・。
白っぽい服で坊主頭かな?
でっかい地蔵さんが座り込んで合掌みたいなポーズをとっている。
あ、なるほど。あれで自動ドアを押さえているらしい。
相談する二人。
A『どうする?行く?』
K『いや、アレやべぇやろ。でもA明日仕事あるしもおはよ帰りたいよなあ・・・。』
A『まぁ・・・。』
K『こっちから行くか?』
と言って向かったのは階段。エレベーターの前を通りすぎて廊下の突き当たりに階段がある。二階以上の廊下は外に面しているのでそこから飛び降りようというのである。
飛び降りるとそこはフェンスに囲まれたマンションの駐車場の一番奥になる。
道に出るには玄関の前は通らないといけないが、暗いし車の影に隠れながらそっと行けばたぶん平気だろ。という事になったようだ。
幸い1階と2階の間の踊り場はそんなに高くなかった。そこから行こうと決めた。
ちなみにその真下、駐車場1番にとめてあるのは私の車だった。
Kが先に降りる。出来るだけ壁に沿うように静かに、ヤツに聞こえないように。
続いてA。Aは少し小柄な分高く感じたのではないだろうか。ゆっくと、Kがそれを下から補助する。
着地。
よし。後は道に出るだけだ。行こう。
振り向くとソイツが立っていた。
固まる、二人。
・・・いつの間に来た?
二人とも降りるのに必死でソイツが近づいてきているのに気づけなかったみたいだ。
全身、総毛立つ感じがした。と後になってKが言っていた。だって振り向いたらいるんよ、そこに・・・。
実際の距離は3~4mくらいだったらしい。
外灯が逆光になって表情が分からない。
身長は170くらい、でも体重は確実に80越えって感じ。
小柄なAは特に、こいつけっこうデカイ・・・って思った。
Aはとっさに声をかけてみた。
A『あのー、どうかしましたかっ!?』
無反応。
再度
A『どうかしましたかっ?』
やはり無反応。言葉は通じないらしい。
とにかく表情がよめないし下手に動くと襲ってきそうだった。
ソイツは少しづつ左右に揺れる?ような動きでちょっとずつちょっとずつ距離をつめて来た。風に揺られえるみたいな、変な動き。気持ち悪ぃ・・・。
二人はKを前に、車と車の狭い空間をゆっくりと後ずさる。
私の軽自動車を挟んで、対峙する。
Kはソイツの方を向いたまま、Aに小声で言った。
K『A、すぐそこの交番分かるか。道に出たらすぐある。そこまで走ってくれんか?』
A『・・・すぐ、戻るわ。』
Aはソイツから距離をとれるようにうまく車の間をすり抜けて、それから交番にダッシュした。
本当に交番はすぐそこにある。
走って1分もかからない距離。
でもKはこの時の時間が一番長く感じたと言っていた。
A早く戻ってくれっ。
ソイツはAの方を少し気にするような仕草を見せる。なんか、そわそわしてる?
すぐに婦警さんが二人、Aと一緒に駆けつけてくれた。
この時K的には、え~~ってなったらしい。女性かよ。なんか俺ら情けくない?男二人でみたいな(苦笑)
とにかく素早く婦警さん
2人に駆け寄り、あそこですと指差す。
優しく?声をかけながら婦警さん×2は堂々と近づいていって、両サイドから難なく捕獲。
何か話しかけているようだけど聞こえない。
というか、あっけねぇなあ。俺らだいぶびびったんだけど。てなった。
そうこうするうちさらに応援の警官3名が駆けつける。(今度は全て男性)
まあ何にせよ、玄関前でやってるもんだから入りづらいし、とりあえず自販機でコーヒーを買う二人。
いや~
ほんと、マジでびびった・・・
みたいな会話をしているうちに警官一人が事情を聞きにきた。
K『俺行って来るわ~お前もう今日はウチ泊まってきな。あ、ごめんNに電話しといて。』
A『へーい』
てな具合で私に電話がかかってきたわけです。
二人は部屋に戻るとついさっきあった事を興奮気味に話した。
いや~死ぬかと思った。
みたいな話。
私はそれを聞きながらAの分の布団を敷きました。
それにしても、二人は異様にキズだらけ。どうやら飛び降り際についたようですが、今まできづかなったとのこと。
ちなみにその後、どうやら二人の遭遇した変質者は近くの交番の「最近の常連さん」である事が分かったようです。
そして男と思っていたが実は女性であった事も。
さらに、警官5人とともに連れていかれた先は、
ウチのすぐ隣のアパート・・・。
引っ越そう!!
というKに対し、いやいや、越してきたばっかだし・・・となだめる私。
それから1ヶ月くらい、背後を気にする生活している二人でありました。
ちなみに私はKより夜間外出禁止令が出ました。(Kの出張中など)
不便なんですけど・・・。
でも、隣かあ。
私は実は、越してきた時から隣のアパートが気になっていたのです。
隣のアパートは2棟あります。狭い敷地内に無理やり2棟建てたといった感じで、よく晴れた日でも北側の棟にはほとんど日が当たりません。
建物同士が近すぎるのです。
本当に暗いけど。人住んでんの?って思ってましたし人の出入りも見かけませんが、夜になれば電気がつくので住んでいる人はいるのでしょう。
例の人が連れて行かれたのも北側の棟だったようです。
日の光にあたる生活って大事なんだなぁ。
などとしみじみ考えた私です。
怖い話投稿:ホラーテラー エヌさん
作者怖話