以前の会社を退職して、今の会社へ勤める間の時期
3年半ほどする事がなくて、あちこちを気晴らしに旅していました。
旅と行っても、家でTV見たりゲームしたりしてボーッとしているのに時々焦りを感じ、
1~2ヶ月に1回くらい、当てもなく鉄道で遠いところまで行って散歩したりする程度。
期間もせいぜい一週間程度の散歩レベルです。
ある夏の日、東北の太平洋側まで行って、いつものようにあちこちを散歩しました。
夜になっても、これといって用事もなく、酒屋でビールを買って飲みながら海岸沿いを適当に散歩。
海岸には、漁船やボートが何艘も接岸していました。
それを見ている内に、何となく乗りたくなり、まあどうせ夜だし誰も見てないからと
渡り廊下からこっそり乗り込み、ちょっとだけ中型くらいの船に乗ってみました。
船は海の上に浮かんでいるだけあって、微妙にゆっくり揺れていました。
都会にいると、こういう気分も味わえないなあと感慨に浸りながら、夜空を見てビールを飲んで時間潰し。
20分ほど経った頃、いかにも不良っぽい車高の低い車が近くにやってきました。
中からは、典型的な田舎のヤンキー兄ちゃんが2人出てきて、道具忘れたとか何とか言いながら船の方に乗り込んできました。
急いで隠れようかなと思いましたが、面倒臭くなり
「すみません、無断で乗ってました。ちょっと気まぐれで…」
ビール飲んでたせいもあるかもしれませんが、自分から名乗り出ていきました。
すると、予想に反して兄ちゃん達は
「なんだオメー?舐めてんの?」
何か気に触ったようで、あからさまに攻撃的な態度。
「いや…そうじゃなくて、ビール飲んで散歩してたもんで…」
「バカかオメー?」
「すいません、すぐ出て行きます」
「オイ!逃げんのか?」
次第にやばい空気が濃くなってきましたが
こっちも若干酔っているせいか、思わず手すりをバンバン叩いて言い返してしまいました。
「すぐ出て行くって言ってるだろ!いちいち絡んでくんなよ!」
これが決定打になってしまったようで、片方の前歯掛けたリーゼントの兄ちゃんが胸ぐら掴んできて
「あー?なんだオメー?」
こっちをギョロギョロ睨み付けて、もう完全にやばい状態。
ただ、2人だけしか居ないし、急いであの渡り廊下を走って船から逃げれば・・・
と良からぬ考えがよぎり、
顔面にパンチ食らわせて、手を思いっきり振り払って逃げようとしました。
ところが、暗くて気付かなかったのですが
よく見たら、岸には既に7~8人位の、いかにもという感じのヤンキーが集まっていました。
どうやら、あちこちに停まっていた車の影とかでだべっていた連中が、声聞きつけて集まってきたようです。
当然、すぐ捕まってしまい、蹴りやパンチは当然、脚立とかまで持ち出してボコボコにされました。
顔はパンパンに腫れ上がり、歯や鼻が折れ、視力も落ちました。
しかも、そこいらに落ちてたヒトデの死体を何個も口にねじ込まれたのは最悪でした。
あんな所、二度と行くもんかと思います。
場所は岩手県の宮古という所です。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話