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短編2
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アタシノ

仲間がデジカメを買った事がきっかけで近所の森の中に佇む廃屋を探検することになった。

写真写真を撮ると言い出したのだ。

全員で俺、飯田、賢の3人だ。

歩いて10分程かけて廃屋に到着したが、雰囲気に一番尻込みしたのは間違いなく俺だ。

飯田

「どうする?」

「ここまで来たしな」

言い終わる前に賢がズカズカと先導を切った。

いざ目の前にすると凄い迫力だ。

そこまで朽ちていないところが一層廃屋の異様さを際立てていた。

大きい窓は枠ごと外れていて、風呂かトイレか外側から見える小窓は全て割れていた。

そこで見た気がした。

奥で動く何かを。

「待った!」

ここまでで既に恐怖心の限界は越えているのだ。ここまで来たことで十分だ。

帰る事を提案しようとした時お決まりの一言

飯田、賢

「ビビってんのか?」

素直にビビってることを認め、外で待つことにした。

ぶつくさ言いながら廃屋に上がる2人を見届け、煙草に火をつけた。

ゴトンゴトン床の鳴る音、ボソボソ聴こえる2人の声、虫の鳴き声。

フーッと煙を吐いた瞬間聞こえた別の音に、耳に音が届くくらいの鳥肌が立った。

『ザバー』

間違う事はない特徴的な音、トイレを流す音だ。

ガバッっと廃屋に向き直った時、全てを後悔した。死んだとも思った。

二階の小窓、調べなくてもトイレなのだろう。そこから頭が覗いていた。

恐ろしく髪が長い、一階の中腹くらいある。

『アタシノ、アタシノ、、、アタシノアタシノ、アタシノアタシノアタシノ』

呟きながらソレは頭をズルズル引っ込めた。

長い髪が小窓に吸い込まれる前に叫んだ。

「逃げろ!」

本気で叫んだ。

2人がぶっ飛んで出てきた。

「ヤバい!ヤバい!」

どっちの声かも理解できない。

もと居た場所まで止まらず全力で走った。

たまり場に着くと倒れこんで息切れが収まらない内に話し始めた。

「ヤバイ!シャレにならん!ハァ」

「なんだよ!ハァ!アレ!!」

飯田

「ハァ、えっ?ハァ」

「女!家!全部!」

「ハァ、ハハっ、お前ビビリすぎ!」

飯田

「脅かそうと、ハァ、思ってさ!」

「大成功ってな!はぁー疲れた!」

冗談じゃない。間違いなく俺は見た。ビビって見た錯覚なんかじゃない。

息を整えてる間、2人がデジカメを見て笑ってる。

『これこれ!これは!?』

『模様だよコレ!!ハハハ!』

脳から離れない。後が心配だし怖くて家にも帰れない。今日はひとまず飯田の家に泊まろうと思った。

『貸してみ!絶対あるから!』

『心霊写真なんてヤラセだよ!』

『ちょっ!これは!?』

『光だよこれは!』

朝になったら真剣にお祓いを頼もう。母の知り合いにその筋の人がいた気がしたから。

『ちょっと貸してみ!』

『ねーって絶対!』

『いいから貸せよ!』

『アタシノ』

怖い話投稿:ホラーテラー 赤いのさん  

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