私の職場は半導体製造工場だ。
クリーンルームに霊など不釣り合いではあるが、実際にあった話だ。
製品検査で顕微鏡を覗いていたときだった。
突然、私のすぐ右隣の検査ブースから悲鳴がこだました。
何事かと思いブース内を見てみると、悲鳴を上げた若い女性検査員が何やら興奮している様子で、『オジサン!オジサン!』。
と、叫んでいる。
訳も分からず彼女が指差す顕微鏡を覗いた。
基盤に掘り込まれた集積回路が見える…。ラインの幅は10ミクロン。
『うぉ!』
私も思わず声を上げた。
緑色のジャージにハゲ頭。
こいつが噂に聞く、ちっちゃいオッサンか!?彼は寝そべっていた。
私は静かにその製品をバキュームピンセットで持ち上げ、エアーガンで表面を吹き付けた。
その後、再び顕微鏡で見てみたがいなくなっていた。
おそらく吹き飛ばされたのだろう…。
落ちはないが、余談。
身長は20ミクロンだった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話