これは私が小学五年生、11歳の頃の実話である。
信じられない話かもしれませんが、私自身も信じたくない話なんです。
平成5年の10月3日、その日は当時住んでいた地区の運動会でした。
母と弟と私はその運動会に参加する為に朝早く家を出る事に…。
父は普段仕事が多忙な為に、そういった行事に参加する事は殆どありませんでした。
朝7時くらいだったと思います。
寝ている父を起こさない様に、玄関まで行こうとした時、私は父の足を踏んでしまったのです。
すると父は顔を上げました。
私は小声で父に『ごめんなさい!』と言いました。
すると父は返答もせず、また眠ってしまいました。
そうして家を後にしました。
運動会も無事に終了し、母は近所にある公民館での打ち上げの準備の為に一度自宅へ戻り、荷物を置いて公民館へ。
その時父の姿は自宅にはなく、母も気にせず打ち上げの準備を他の父兄と共に始めました。
私は打ち上げの時間まで友達と遊ぶため、やはり荷物を自宅に置きに行こうとしたのですが、自宅に行く途中、鍵を母から預かるのを忘れてしまった事に気づきました。
父が家に居ると思ったので、まぁ、いいか…と言う思いで、ドアの前まで来てインターホンを押しました。
何回か押しても反応は無く、どこか出掛けてるのかな?と思い、自分の荷物を自転車置き場に置きに行きました。
当時は団地の一階に住んでいたのですが、自転車置き場の目の前は私の住む部屋の窓と浴室の小窓が見えるんです。
その時、私の脳裏にこんな言葉が出てきました。
『首吊って死んでる…』
何なのか自分でも理解出来ずに、私は少しの恐怖感と共に公民館へ走り、友達と一緒に遊んでいました。
どれくらい時間が経過したのか…多分夕方6時前くらいだったと思います。
母が靴も履かずに泣きながら公民館へ走ってきました。
『お父さんがぁ…!お父さんがっ…!』
そんな母を見た父兄たちは一目散に私の自宅まで走って行きました。
もちろん…私もです。
公民館から自宅まで、100メール…150メートルくらいでしょうか…自宅は一階ですから、あっという間の事です。
一緒に遊んでいた友達と力いっぱい走り、やっと自宅前に着いた時です。
『来ちゃ駄目だ!』
先に到着して部屋の中に入ってる父兄の一人がそう言いました。
その父兄は私が当時やっていたソフトボールのコーチでした。
その一言の後に続いて…
怖い話投稿:ホラーテラー 11歳の私さん
作者怖話