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中編3
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ひきずる音

これは友達から聞いた話。

あるところに、マンションでの一人暮しを始めた女がいたそうです。

その女は部屋の広さのわりに、家賃がとても安い気がしましたが

「得しちゃった〜」

と、喜んでいました。

それから数日後、

別に自分自身には何かがあった訳ではなかったのですが、朝起きると物が倒れているのです。

ある日には掃除機が倒れていたり、別の日にはゴミ箱が倒れていたりするのです。

最初はあまり気にしなかった女も、だんだんと不思議に思い、毎日電気をつけて寝る事にしました。

女は真っ暗じゃないと寝れない性格でしたが、怖かったので明るい部屋の中テレビをつけていつものように寝ていました。

すると女はある音で目が覚めました。

ガシャン!

それは、扇風機が倒れた音でした。

寝室ではなく、リビングからその音は聞こえました。

見に行こうと思いましたが、恐怖心のが強く、体が動きません。

身動きがとれない女に、また別の音が聞こえました。

ズー、ズー

ずるずると何かを引きずっているような音です。

その音は一晩中聞こえており、女は布団の中で震えながら朝まで起きていました。

朝になり、女は急いで会社へ向かう準備をしました。

一刻も早くこの家を出たかったのです。

リビングに向かうと、やはり扇風機が倒れていました。

怖くなった女は急いで会社に向かいました。

そして、会社で仲の良い友達に訳を説明し、泊まりに来てもらいました。

その友達はとても霊感が強いので、頼りになると思っていました。

そしてその友達を自分のマンションに連れていきました。

その瞬間に友達は

「ウチやっぱ帰って良い…?」

と言い出したのですが、「ここまで来たのだから」と無理に自分の部屋まで案内しました。

そして、玄関のドアをあけた瞬間、友達は

「きゃー!」

と、狂ったような叫び声をあげその場から走って帰ってしました。

その場に呆然とたたずんでいた女はハッと気を取り戻すと、急いでその友達に電話をしました。

…が、出ません。

何度かけても出てくれないのです。

当然行くとこもない女は一人で部屋に入って行きました。

しんみりとした部屋。

それでも女は勇気を振り絞り、友達には明日訳を聞こうとこの家で一晩過ごす事にしました。

倒れてたままの扇風機を元に戻し、寝る支度をしてさっさと布団に入りました。

どれくらい時間がたったのでしょう。

ふと目が覚めました。

ズー、ズズー

昨夜と同じ音が聞こえてきました。

そしてまた布団の中でジッとしていると、

ガタッ

次は掃除機の倒れた音がしました。

…リビングに何かいる。

恐怖でどうにかなっちゃいそうな状態になりましたが、それを確かめに行こうと女は決心しました。

寝室の電気をつけ、ゆっくりゆっくりリビングに向かいました。

そしてリビングに着きましたが、電気をつける勇気がありません。

そして暗闇からは、

ズー、ズー

と、音が聞こえてきます。

おそるおそるその暗闇を覗くと……

3歳くらいの子供がいるのです。

ですがその子には頭がありませんでした。

頭のない子供が首元を床にこすり、はいつくばりながら移動しているのです。

ズー、ズズー

それは首をこすりつけている音でした。

その女はパニック状態になり、急いでそのマンションから飛び出しました。

そして近くのコンビニへ入り、気分が落ち着くまでそのコンビニにずっといたそうです。

朝になり、会社へ行く気がしなかった女は休みをとり、マンションの管理人に事情を話しました。

すると、管理人は以前そこに住んでいた3人の親子のことを話してくれました。

母親と男の子と女の子で住んでいたらしいのですが、母親は男の子ばかり虐待していたそうです。

そんな中、男の子が少し妹のミルクをなめた事に腹を立て、花瓶で原形をとどめないくらいに男の子の頭を殴り続けて殺したそうです。

その時は凄い騒ぎになったそうですが、今ではその部屋を格安で貸しているそうです。

女はすぐに引っ越しました。

そして後日友達に帰った訳を聞くと

「頭のない男の子がいた。」

と言っていました。

長々とすみません。最後まで読んでくれてありがとうございます。

怖い話投稿:ホラーテラー ラピュタさん  

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