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中編3
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ぬくもり

初めて投稿します。

怖くない話ですが、ご容赦下さい。

ちょうど1年前の話です。

私には当時、付き合って2年になる恋人がいました。

ありがちな話ですが、同期入社した同僚と恋愛関係に発展していきました。規模の小さい会社で、もちろん社員数も少なかったため、周りのことも考え、付き合っているということは公表はしていませんでした。

のろける訳では決してありませんが、とても優しい人で、一緒に過ごすことの出来る時間は本当に幸せな日々でした。

何か特別な事をしなくても、共有している空気が嬉しかったです。

付き合い始めて1年後、私の転勤が決まり、離ればなれになる事になってしまいました。

私は会社を辞めて彼と一緒にいようかとも思いましたが、仕事自体は充実していたこともあり、彼とも相談の上、遠距離で恋愛を続けていくことになりました。

いつも一緒にいることが出来た、いることが当たり前だった環境から、真逆の環境へ。

寂しさと(別れた訳ではないのに)喪失感で、離れた直後はかなり辛い思いをしました。

彼はそんな私の辛さを紛らそうと、小まめに連絡をくれました。

そんな状況でしたが、彼は私とのことを真剣に考えてくれ、お盆休みには私の実家へ来て、両親へ挨拶まで済ませてくれました。

離れてから1年ほど過ぎたある日の夜のことです。

些細なことから喧嘩をしてしまいました。

仕事のストレスと、中々会うことが出来ないストレスを、私が彼にぶつけてしまいました。

彼は全然悪くないのに、「ごめん…」と言いながら私のイライラの捌け口となっていました。

その日は一方的に私が電話を切ってしまい、言い過ぎてしまった自責の念と、無駄な意地を張ったままベットにもぐりこみました。

明け方頃だったと思います。

私が寝ているベットに誰かが腰掛け、私の頭に触れました。

あまりに突然のことでかなり驚き、強烈な眠気と戦いながら、かろうじて目を開け、状況を確認すると、その彼でした。

『起こしちゃった?すまんね』

と言いながら、頭を撫でています。

「何してんの?」

と寝惚けながら言うと、

『会いに来た』

と言って、ニコッと笑いました。

私は訳が分からない気持ちもありましたが、彼に会えたうれしさで、座っている彼の腰に抱きつきました。

しばらくすると、

『下に行ってるから』

と立ち上がり、頭をポンポンと軽く2回叩いてドアの外に出て行きました。

その頃私は実家から会社に通っていたので、親と話すのか、くらいに思っていました。そのまま私はまた眠りに就きました。

朝目を覚ますと、一目散に階下に降り、彼に会いに行きました。

リビングに入ると両親が朝の支度をしていましたが、彼の姿が見当たりません。

「○○は?!」

おはようよりもまず、そのことを両親に聞きました。

「は?何寝惚けてるの?いる訳無いじゃない。」

母からの素っ気ない返事に、私の思考は停止しました。

どうゆうこと?

その直後、自分の部屋に置いてあった携帯が鳴りました。

相手は彼の上司。

昨晩事故に遭い、彼が……死んだ。 

その後の記憶はあまりありません。

心身のバランスを酷く崩し、仕事も辞めざるを得ませんでした。

「夢枕に立つ」という話は、ありがちな話かもしれません。

しかし、あの時の頭を撫でてくれた彼の手のぬくもりや、抱きついたときの彼の匂いは、とてもはっきりとした感覚でした。

夢ではないと断言できます。

未だに彼のことを忘れることはできませんし、今も書きながら涙が止まりません。

もう一度会いたいです。

目新しさの無い話の上、自己満足のような文章で申し訳ありませんでした。

失礼いたしました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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