「やめて!やめて!」
必死に抵抗するこの人に私は迷わずとどめを刺す。
「やめっ―」
ビクビクと痙攣しやがて動かなくなる。
生きていた人間が事切れる瞬間は儚くも美しい。
私は溢れ出た血をぺろりと舐めながら―
笑った。
ただひたすら笑った。
最愛の人を自らの手で亡くしてしまった。
ああ私はなんてことを。
もう動かぬ「モノ」となったものを抱きしめる。
愛しくて、愛しすぎて殺してしまった。
あははははははは―
「はっ」
「夢か・・・」
服は汗でべっとりと濡れていた。
横に眠る最愛の人を見てつくづく夢でよかったと感じる。
私は起きて台所へ向かい包丁を手にとった。
私はぼそりともらす
「もし夢が夢じゃなかったら殺せねぇだろうがよ。あはは」
夢にまで見た、愛しき人の果てる姿を見るために私は寝室へと向かった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話