昔、ある同僚と仕事をしている時だった。彼は「具合が悪い」を理由に仕事を休みがちな奴だった
彼は「見える」らしい。そのくせにホラー映画や呪いのビデオ。友達と肝試しは大好きな奴だった
「明日の休み、友達と心霊スポットに行ってくる」
と、奴は言った
「別に良いけど、何かと理由つけて具合悪いとか言うなよ」
2日後、奴が出社。どうだったか話しを聞いた
奴とその友達の2人で車で向かう。なんだかんだ怖くなり昼間に行ったそうだ
車で国道から山道に1~2分走ると、今は使われていない工場の廃棄がある。
変な違和感。まず直線道路であるのにコーナーの所によくある相手の車をみるための反射板みたいなものが、左右に合わせ鏡のようにあった
そこから数メートルで廃工場に着いた
エンジンを切って2人で降りようとドアに手をかけた途端
タタタタタタタタ…
「雨か…」
と、ウィンドウガラスを見ると手形がついている
タタタタタタタタ…
その数と同じだけの無数の手形が車にあたる
タタタタタタタタ…
さすがに怖くなり
「は、早くエンジンつけろや!」
「エ、エンジンがつかない…」
2人でタバコをふかす
タタタタタタタタ…
「つ、ついた!」
エンジンが掛かり即座にそこを離れ、近くの駐車場についた
2人で車から降りると、車の右側と左側には女性のような手。上には、まるでハイハイをしているような小さな手。後ろ側にはたくましい男のものであろう手が、それぞれ無数についていた
ボンネットやバンパーなど、前側はいっさい手形が無かった。まるで正面から入った彼らをもっと中に入れようと…
その日、奴の家族全員が「黒い男のような影」を見たそうだ
後日談にはなるが、車を出し一緒に心霊スポットに行った友達は、単独事故にあい、車を廃車。彼自身は大きな怪我は無かったが、車好きな彼にはつらかったろう
彼が仕事で具合悪いと言う事や、その友達が事故を起こしたのも、決して心霊スポットのせいとは言わない。その手形だって彼らの嘘かもしれない
ただ後日、僕はその道を通る事になり、気付いた事がある
合わせ鏡は本当にあった
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話