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中編4
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新任教師の怨

都会というには不便で、田舎というには少々発達した町の女子校での事です。

その女子校に若い女性教師が赴任してきました。新任教師で担任こそは持っていなかった彼女でしたが、料理部の顧問を任され、やる気に満ちていました。

その時の大半の料理部員はやる気など全くなく、ただ毎日毎日だべっているだけでした。

初めは新任教師が来た、という事で彼女達も比較的まじめに部活に取り組んでいましたが、夏になる前に冷めてまただべり出しました。

彼女達に対する印象が『まじめ』というものしか無かった教師は彼女達の変化の理由がわからず、不安になりました。

そしてその不安をごまかす為により熱心に部活の指導を行うようになりました。

生徒と顧問の間で温度差のある部活がどうなるかは皆さんご存知でしょう。

例に漏れず、彼女達は教師を嫌うようになり、教師をイジメ初めました。

そのイジメはとても酷いものでした。

しかし教師は初めての顧問という事で、イジメられながらも料理の指導を続けていました。

部活がストレスだということに気付かないフリをしながら、そして気付かないがストレスになっている事に気付かないまま・・・・・・

夏休みに入る直前、いつも通りに料理について説明する教師と、それを完全にシカトしておしゃべりする彼女達。

その日教師の精神は限界を迎えました。

突然「アッハハハハハハハハハハ!!」と笑い出す教師。

流石にシカトを続けられなかった彼女達は黒板前の教師に注目します。

教師はやはり「アッハハハハハハハハハハアハハハハハハハハハハ」と笑い続けていますが、その目は全く笑っていません。

虚ろなその目からは涙が流れ、笑い声を上げている口からは唾液が撒き散らされていました。

そして教師は左手を黒板に押し付けると、右手に持っていた包丁でその左手を刺し初めました。

彼女達はその光景に恐怖し、調理室から逃げ出し職員室に駆け込みました。

他の教員が調理室に駆け付けた時、教師は黒板の前で血の海に倒れていました。

左手は手首から先が原形を留めていませんでした。

教師はすぐに病院へと搬送されましたが、出血によるショックで亡くなりました。

女子校は少し早い夏休みになりました。

夏休みが半分程消化されたお盆前、イジメ主犯格の三人の生徒(ABCとします)の下へメールが届きました。

差出人は、あの教師。

内容は『あなた達に返してほしいものがあるので今晩学校に来て下さい。待ってます。』といったもの。

三人は死んだハズの教師からのメールに恐怖を感じたものの好奇心が勝り、その夜学校に向かった。

懐中電灯を一人一本持った彼女達は校門を乗り越え、職員室の扉から容易く侵入していった。

鍵は掛かっていなかった。

当然の如く警報装置が作動することも無かった。

静まりかえった校舎内。夜の学校は独特の不気味な雰囲気を持っている。

もともと怖がりだったCはABよりも早くその雰囲気に呑まれていた。

多少怖がっていながらも楽しんでいる様にも見えるAとB。

対して二人に隠れる様にしながら進むC。

その時にガンッ、と防火扉を叩いたような音が廊下に響いた。

その音に驚き、悲鳴を上げながら走り出すAB。Cは恐怖のあまりに腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。

一人取り残されてしまったCは恐怖がさらに募っていき、這うようにしてトイレの個室に逃げ込んだ。

AとBに連絡をとろうにも電話が繋がらないし、メールも送れない。

Cはしばらくトイレの中で震えていたが、ふいに恐怖を全く感じなくなった。

不思議に思いながらも個室から出て、洗面台に掛かっている鏡を見た。

そこにはCの後ろに佇むあの教師の姿があった。

思考が恐怖に支配され、身動き一つ出来なくなる。

鏡に映る教師は少しずつCに近づいてくる。

Cの左手が『何か』によって鏡へと押し付けられる。

その左手から血が吹き出す。

何度も。

何度も・・・・・・

同時刻、AとBは調理室にいた。

Cの事が気にかかり、調理室を後にしようとしていたところだ。

結局何も無かった。

そう思い、振り返ったところでBは、扉のガラスに映る教師の姿を見た。

悲鳴を上げ、逃げようとするも、

遅かった。

Bの左手がやはり『何か』によってガラスに押し付けられる。

Aにはガラスに映る教師の姿が見えず、何が起こっているか理解出来ない。

必死にBをガラスから引き離そうとしていたが

Bの左手から血が吹き出した。

思わずその手を離し、逃げ出すA。

何度も血が吹き出す左手を見ながら、Bの表情は笑っている様に見えた。

逃げ出したAは必死に走っていた。

悲鳴を上げる余裕もなく、校舎内を疾走した。

そして昇降口のガラス戸に思い切りぶつかった。

衝撃で後ろに弾かれる。

それでも猶逃げようと前を見た時、Aはそれを見た。

ガラス戸に映っているあの教師の姿を。

四つん這いのまま動けなくなるA。

『何か』の力でガラス戸に押し付けられる左手。

体勢を崩したAは床に倒れ込むが、左手はガラス戸と密着したまま動かず、半ば吊られるような格好になる。

そしてAの左手からも

血が吹き出した。

何度も。

何度も吹き出した。

「アハハ・・・」

「アハハハハ・・・」

「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

Aは笑っていた。

左手から血を吹き出しながら

笑い続けた。

翌日、教員の一人が昇降口で倒れているAを見つけ、警察に通報した。

警察によるとABCの三人は死んでいたそうだ。

左手の手首から先が原形を留めていない状態で。

読みづらい長文を読んでいただき、ありがとうございました。

ちなみに作り話です。

いわゆるフィクションですね。

まぁ気付いてたでしょうけど(笑)

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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