これは、Mさんが数年前、千葉で体験した話だ。
深夜、海岸線を走っていると、強烈な眠気に教われた。
どこか仮眠ができる場所はないか…と探していると、コンビニの灯りが目に入った。
駐車場に入ってみると、大型トラックが何台も駐車されいたので、かなり広い。
ここなら朝まで車を止めてもなにも言われないだろう。
そう思って、Mさんは車を停めるところを探して回った。
ところが、空いているのはエンジンをかけたまま駐車しているトラックの隣ばかりだった。
仕方がないので、トラックの停まっていない場所を探し奥へと進むと、木の枝が駐車場に被さるように茂った場所に、車止めが見えた。
周りには、トラックもない。
Mさんは車を停めると、シートを倒してすぐ眠りについた。
どいとくせ……。
はっと目が覚めた。
フロントガラスから外を見ると、辺りはまだ暗くて誰もいない。
もう一度寝ようと、目を閉じると。
どいとくせ……。
声は車内で聞こえた。
起き上がると、目の前に逆さになった、シワだらけのお婆さんの顔があった。
お婆さんは、車の屋根の上から内を覗き込むようにしてMさんの顔を見ている。
どいとくせ……。
Mさんは叫び声をあげて、外へ飛び出した。
そのままコンビニに駆け込むと、日が昇るまでそこで過ごしたという。
明るくなってから、車に戻って驚いた。
車止めとして使われていたのは、二つに割られた墓石だった。
まさかと思い辺りを見回すと、他にも墓石で作られた車止めがあったという。
怖い話投稿:ホラーテラー 銀色の鷹さん
作者怖話