ある日子供が生まれた。
未熟児でない健康な子供だった。
名前は健史。
親になった二人はとても喜んだ。
最初は可愛かった。
でも、成長していくごとに不細工になっていった。
かなりの速さだった。
小学校に行き始めた。
案の定いじめられた。
両親もこの子のことで不仲になり、離婚した。
子供は父親が引き取ることになってしまった。
何年も前から虐待を受けていたこの子は傷だらけだった。
反抗しようにも力がなさすぎた。
親子二人で船に乗ることがあった。
二人きりになったとき父は子を突き落とした。
衝動的で死ぬほど気持ちよかった。
溺れていく姿もみなかった。
数年後、その父は結婚。
子供が生まれた。
この子はとても可愛らしかった。
大事に大事に育てた。
親子二人で船に乗ることがあった。
泳いでいる魚の話をしながら潮風を浴びた。
「ねぇ、父さん。」
「えっ?」
明らかに息子の声が違っていた。
どこかで聞いたことのあるような…。
息子がこちらを向いた。
父は腰を抜かした。
顔が前の息子の顔になっていた。
満面の笑みを浮かべ、海に飛び飛んで行った。
怖い話投稿:ホラーテラー tkさん
作者怖話