うまく書けないかもしれない上に不可解なだけなので、よかったら読んでほしい。
あれは自分が中学生くらいの夏。
図書館からの帰り、いつも近道に使ってた、車道と田んぼの横にある長いあぜ道に入って、軽快に自転車を走らせてた。
暫く走っているうちに、妙な違和感に気づいた。
自転車を止めてみて気づいた。
視界がモノクロだった。
慌てて周囲を見回すと、周りも全部モノクロ。
しかもごく短い一直線の田んぼ道の筈なのに、前に伸びる道には地平線が見えた。
横に車道は無く、延々と田んぼが広がってた。
とりあえず地平線に向かって自転車で走った。というかそれ以外どうしようもなかった。
走ってる間も廻りは延々と田んぼでモノクロ。
自転車を走らせる音と、タイヤが地面に接する音、走って起きた風で後ろの稲穂がサラサラ言う音以外は何も聞こえなかった。
しばらく走っていると、不意に横に狭い道が1本伸びていることに気づいた。
自転車を止めてわき道の向こうを見ると、なんだか古い日本家屋が建っていた。
これ幸いとばかりに、脇道に進路を変え、家を目指した。
目の前まで来てみると、結構大きな家であることが分かった。
かなり古いらしく、全体的に黒っぽく(と言ってもモノクロなんだけど)、壁と同じくらい黒ずんだ表札には「菊~(判読不能)と書いてあった。
しかしそれよりも目を引いたのは、軒下にぶら下がっている無数のつららだった。
ここら辺は結構あったかいのでつららなんて見るのは初めてだった。
それよりも今は夏のはずだぞ?俺も半そでだし?
と、つららを見ていたら突然、一斉につららが溶けて落ちた。
それはまるで滝のように全部軒下に落ちて無くなった。
その時急に、
プァーーーーーーーー
と聞き慣れた音が大音量で聞こえた。
ハッとして横を見ると、目の前を大型トラックが過ぎてった。
音はトラックのクラクションだった。
と同時に、自分が元の田んぼと車道の間にあるあぜ道に立ってることに気づいた。
周りの景色もしっかりカラーだった。
あぜ道に入ってから5mも無い場所に、自転車止めてぽつんと立ってた。
あの変な家は無かったし、セミの声がやかましく辺りには響いてた。
このあぜ道にはそのあと何度も通ったけど、モノクロになって道が伸びることもなかったし、あの古い家を見つけることも出来なかった。
白昼夢だったかと言われると、証拠も何も無いので否定は出来ない。
でもあの軒下に無数にぶら下がったつららは、今でも鮮明に覚えてる。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話