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短編2
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呪いなど待てない。

消ゴムのおまじないと呪いというのがある。

消ゴムの、普段紙で覆われている側面に黒字で好きな人の

名前を書いて、誰にも見せずに使いきるとその人と結ばれる。

又は、憎い人の名前を赤字で書き、同様に使いきると呪い

殺す事が出来る。

結構有名なんじゃないだろうか。

私が小学生の時、Aちゃんという友達がこれをやっていた。

私達は特別仲が良く、頻繁に二人で遊んでいた。

私達は親友だと思っていたが、Aちゃんはおまじないの

消ゴムだけは決して見せてくれなかった。

「Aちゃん、ちょっとだけ見せてくれてもいいじゃん」

「だめ。失敗しちゃうでしょ」

「少しだけだから」

「駄目だよ、絶対見せない」

いつになく強い調子。

つまり、よっぽど結ばれたい男子でもいるのだ。

これは邪魔をしないのが親友としてのあるべき姿だと、

私は自分に言い聞かせた。

私は他にも友達がいたが、Aちゃんの友達は私くらい

だったから、彼女を大切にしようとしていた。

ある日Aちゃんの家で事件が起きた。

彼女の家で家族の3人、御両親とお兄さんに、Aちゃんが

包丁を振り回したのだ。

Aちゃんはそのまま「保護」された。

彼女が家族全員から酷いDVに遭っていたことはそのあと知った。

翌日、彼女の机の教科書入れに、あの消ゴムが入って

いるのを見つけた。

手に取ると何故か紙のカバーが剥がされており、書かれた

名前が読めてしまった。

一つではない。

四つの側面に名前が一つずつ。

赤字で、Aちゃんと同じ名字の名前が三つ、

彼女自身の名前が一つ。

彼女がどんな気持ちでこの消ゴムのカバーを剥いだのか。

自称親友など、何の役にも立たなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 鰤さん  

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