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短編2
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異界の使者

夜、子供を寝かしつけていると、布団の足下の方で何か小さな生き物がウロウロしているのが見えました。

証明は豆電球ひとつのみ。

薄暗い室内でそれは某人気洋画に出て来る小さな老人(○ーダ)の様にも見えました。

昔からそうゆう類が見えたりする事が多く、はっきり言って慣れてました。

ある程度年を重ね母親になってからは恐怖心すらもなく、気にもならず、ただ子供を守るために、念の為、目で追っていました。

するとその生き物はゴニョゴニョと聞き取れない発音で何かを喋り、その後すぐ、次は日本語で(願いはどうする?)と私に問い掛けてきたのです。

どもりが混じったような、呂律がおかしいような、慣れない日本語を使うような、そんな口調です。

(願い?)頭の中で聞き返すように思うと、口にもしていないそれに対して、生き物は(そうだ)と言いました。

(お前は昔、別世界に行きたいと願っただろう?)そこまで言われてやっと思い出し、私も口を開きました。

(ああ〜、はいはい)と、そんな事もあったなぁ、というレベル。

(ずいぶん前ですよね)

(お前が子供の頃だ)

確かに、子供の頃は環境が苦しくて何かに縋りました。

親の離婚、母からの仕打ち、学校でのイジメ、疎外感…などから、私は魔術に夢中になっていた時期があったのです。

見えない力を信じ、またそれで仕返しをしたい、悪魔を呼び出したい、魔界に行きたいと、今思えばヒツクで根暗な考えばかりでした。

(行くか?)

チョイチョイと枯れ枝のような手が招く仕草に、私はすぐ首を振りました。

それまで何とも思わなかった○ーダに似たそれをとても不気味に感じ、急に襲う恐ろしさから体が強ばりました。

(行かない、今はもう幸せだし、ここにいたい、まだ死にたくない)

寝ている娘の小さな手を握って、精一杯強気の虚勢を向けると、それは意外にも(そうか)と言うだけでした。

(お前の願いが届くまでに六年、迎えに行くかどうかを決めるまでに三年、わたしがここへお前を探しにくるまでに六年、また六年かけてわたしはもどる)

最後に、もう二度と呼ばないと誓わされ、それは消えていきました。

気がつくと朝でした。

別に証拠も何もありませんので、誰かに話しても到底信じてはもらえないと思います。

ここに投稿させて頂いて、私も忘れる事にします。

だけど、人以外のものは確かに存在しているのです。

そして、迂闊に関わってはいけないのだと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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