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中編4
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ロン

私が小学校の時の話です。実話です。

近所にエミちゃんという女の子が住んでいました。同級生だったので、よく家に遊びに行っていました。

エミちゃんの家は、お金持ちらしく、大きな綺麗な家だったし、いつも可愛い服を着ていました。

エミちゃんのお母さんも、すごく美人で、物腰

も優しく、お洒落で、家に行くと必ずケーキなどのおやつを食べさせてくれました。

エミちゃんは、犬が欲しかったらしく、ある日、コリー犬の子犬を買って貰っていました。

私も大喜びで、2人で名前を付けよう!っていう事になり、考えた末、2人でロンという名前を付 けました。

コリー犬のロンは、すごく可愛くて、私はエミちゃんの家に行くのがすごく楽しみになりました。

2人で可愛がり、ロンもすごく懐いていまし た。

犬は、一年で成犬と同じくらい、大きくなります。イタズラも甘噛み(軽く噛んでしまう) も、始まります。

ある日、いつものように、エミちゃんの家に遊びに行くと、びっくりしました。

ロンの口を、針金でグルグル巻きに巻いてあるのです。

私はすぐに、エミちゃんを大声で呼びました。

ロンは、ぐったりとふせをしたまま動きません。

エミちゃんが家から出てきました。

「エミちゃん!!ロンが!!口が大変!!何これ!?早く取ってあげないと!!」

私は必死でした。

ところが、予想もつかない答えが返ってきました。

「ああ、これ?仕方ないんだよ、お母さんに噛み付いちゃったから、

お仕置きなんだ。お母さんがやったんだよ」

私はびっくりしました。あの優しいお母さんが??

ロンの口から少し血が出てるのを見て、

怖くなった私は、エミちゃんとは遊ばずに、家に走って帰りました。

次の日の朝、学校の行きがけに、すぐにロンを見に行ったんですが、

まだ針金はグルグル巻きになったままでした。

私はまた怖くなって、走って学校へ行きました。

それから、私はエミちゃんの家に行かなくなりました。

ただ、学校の行きがけや帰り道で、ロンをなでたり、さわったりして、可愛がっていました。

針金は、3日程で外して貰ったようでした。

しばらくたって、いつものように、学校の帰り道に、ロンの所に行きました。

すぐ、おかしな事に気がつきました。

ロンのしっぽに、可愛いピンク色のレースの布

が巻いてあるのですが、明らかにしっぽが短いのです。よく、ドーベルマンなどは、しっぽや

耳を切って、容姿を良くしたりしますが、ロンは、普通のコリー犬。しっぽを切るなんて事、

あるでしょうか?

その時、丁度エミちゃんも帰ってきました。私達は、久しぶりに顔を合わせたのです。

「エミちゃん、ロンのしっぽ、、、、、、」

エミちゃんは、またさらりと言いました。

「 ああ、お母さんが、犬はしっぽが短い方が可愛いんだって。お母さんがやったんだよ。」

もう、子供心に耐え切れなくなり、私は走って家に帰ると、自分の母親にしがみついて大泣きしました。

可愛かったロンが、かわいそうで耐え切れなかったのです。

母親は私に、もうロンの所には行かないように、と言って、ずっと抱きしめてなだめてくれました。

私もその方がいいと思い、行かないようにしました。

中学生になり、エミちゃんは私立に行った為、ますます会う事が無くなり、

私もロンの事は忘れたように、忙しく中学生生活をしていました。

でも、ふと、ある日気になったんです。

なぜ急に気になったかは、分かりません。

中学校からの帰り道、久しぶりにロンの所に寄ってみようと思ったのです。

ロン、元気かな、まだ私の事覚えててくれてるかな。

そして、ロンの所に着きました。

「あっ!!!!!!」

何?!この傷後!!

ロンは、口の下から喉までの毛が無くなり、太い縫い傷がまっすぐ連なっていました。

何?ケガしたの?ロン!!

私が頭を撫でると、嬉しそうに、ハッハッと言います。でも、おかしいんです。少しも声が出ない。

その後、事実を知って、唖然としました。

ロンは、鳴き声がうるさいからという理由で、声帯を切る手術をしていたんです。

勿論、あの優しいお母さんの考えらしいです。

いったいロンは、何の為に飼われたのでしょう?犬にとって、吠える事は、唯一の表現方法なのに。

声帯を切られたロンは、みるみる衰弱していき、間もなく死んでしまいました。

私がエミちゃんの家に行く事は、二度とありません。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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