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中編3
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最後の仕事

私は3歳の頃に親が離婚をし、父親の背中を見ることが出来なかった。

それから母は仕事でばあちゃんの家に泊まることが多かった。

ばあちゃん

「あんたなんか欲しいものないね?いつも寂しい思いしてるからね。」

「お父さんに会いたい」

ばあちゃん

「そいはばあちゃんには買えないねえ」

と笑いながら言っていた。

欲しいものはなんでも与えられて、なに不自由ない生活は送れた。

ただ父親の背中を見ることができなかった。

僕も22歳になり父親になった。

結局22歳まで父親と1度も会えなかった。

ばあちゃんは俺が18歳になるとリュウマチを患いベッドで寝たきりになった。

ばあちゃんの家に息子を連れて会いに行くと

ばあちゃんは

「空(息子)にもあんたのお父さんに会わせたいね。あんたも小さい頃からお父さんに会いたいてずっと言うてたもんね。ばあちゃんが会わせてあげるよ。」

「ばあちゃんなんばいいよっと?今更親父に会ったけんてなんも話すことなかし、ただ空は抱っこしてほしいかな~」

ばあちゃんは俺が話す間ニコニコ笑って黙って聞いていた。

1週間後ばあちゃんは自宅で静かに息を引き取った。

葬式の日

外でタバコを吸ってると小さい頃写真で見た人にそっくりな人が車から降りてきた。

男の人

「順子さんの葬式会場はこちらでよろしいでしょうか?」

と聞いてきた。

「はい。」

タバコを吸いながらガラス越しにその人を見ているとお袋と話していた。

まさか?とは思ったが場所も場所だった為お袋にあれ親父?とも聞けず、坊さんがお経を読む間俺はその人をずっと見ていた。でも男の人はずっと下を向き手を合わせていた。

お経も終わり帰り際にばあちゃんの顔を見にお線香をあげに来る際その人は俺を見てニッコリと微笑み会釈を深々としていった。

そしてその人が通りすぎるさい嫁が

「あの人旬ちゃんのお父さんだって」

と言った。

俺はその瞬間涙が出そうになった。

何を話していいかもわからなかったがその後を追っていた。

親父は出入り口の喫煙所でタバコを吸っていた。

俺が親父の後を追っていったから嫁もおばさんに預けていた空を抱っこして俺の後ろについてきた。

いざ目の前にすると俺は何て呼べばいいかわからずボーッと見つめていた。

すると嫁が横から

「お父さん初めまして旬の嫁の絢香といいます。孫の空です」

するとお父さんは頭を下げ、泣きながら空を抱っこしていた。

「お父さん?」

親父

「旬か?大きくなったな前はこんなに小さかったのに」

「もう20歳こえたからそりゃ大きくもなるよ」

照れながら言うと親父は泣きながら抱きついてきた。

ずっとごめんな、ごめんなと言って泣いていた。

俺も物心ついて初めて親父に会えたのが嬉しくて嬉しくて、お父さんて呼べる人が自分にもいるて事が、他の人には当たり前の事が自分にはすごく嬉しくて涙が止まらなかった。

ばあちゃんが最後に言った言葉親父に会わせるて言葉。

最後までばあちゃんは俺の願い事叶えてくれました。

ばあちゃん大好きです。

ばあちゃん、空と嫁と12月に生まれるお腹の子と墓参り行くね。

本当にありがとう。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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