短編2
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孤独な世界

あなたは、今生きているこの世界をどのくらい知っているだろう?

もしかすると、あなたは、まちがった

想い込みをしているかもしれない・・・

私は、どこにでもいるようなふつうの人間だ。

今日も何も変わらない毎日を送っていた。

夏休み。課題図書を何にしようか考えていたとき

友人の綾香がすすめてくれた一冊の本。私はそれを無我夢中で読んでいた。特に本が好きなわけでもなかったが、この本の内容があまりにも面白く目がはなせなかった。

私は幼い頃良く考えていた事がある。

この地球で生きているのは私だけなのではないかと。知らない人たちや、家族、友達、すれ違っただけの人たちすべてが、私のためだけに動いてくれているのかもしれない。友人が貸してくれたこの本は、幼い頃の私の考えを代弁してくれているようだったのだ。

この本を読む事で、成長していくにつれ、薄れていたその考えは、再び私の心に大きく印象づけた。

夏休みが終わり、学校が再開したある日、私はいままで誰にも話そうとも思っていなかった、その考えを友人に打ち明けた。

「本、貸してくれてありがとう。」

綾「うん。面白かったでしょ?」

「すっごくおもしろかった!あのさ、私もこの本に書いてあるような事考えた事あるんだけど。綾香は無い?」

綾「えぇ?」

「ほら、周りの人たち全員が、自分のためだけに、道を歩いたり、働いたりして、自分が知らないところでは、その人たちはパッ!と消えちゃって、姿だけでなく、存在すらないの。」

綾「つまり、この世で生きているのはその人ただ一人だけってことだよね。」

「うん。なんか寂しいし、本当にあったらちょっと怖いよね。まぁそんなことあるわけ無いけど。」

綾「本当かもよ。」

「えっ?」

そのときの綾香の声はなぜか、冗談抜きの真剣なものに聞こえた。

家に帰ってからも、綾香のあの声が頭から離れない。こんな話、いつもならすぐに忘れてしまうのに、不気味なほど脳内にしみついていたのだ。

もし、本当にそうだったら・・・。世界中いや、宇宙のすべてのものは存在しない。たった私一人だけが・・・

もう考えてはいけない。

それ以上考えてはいけない。

必死にそう思うが、もはや私はその考えをやめる事はできなかった。

私はこれからも自分だけしか存在しないという奇妙な感情に付きまとわれながら、明かされる事の無い真実を見つめながらいきてゆくのだろう。

もしかしたらあなたも。

近くにいるその人。

本当に、存在していますか?

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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