家には私が生まれた頃からチャコと言う猫がいました。
左もも付け根に小さく丸い茶色い模様がある以外は真っ白な子で寝る時も同じ布団で寝たり遊ぶ時もいつの間にかついて来たりともの心着く頃からいつも一緒にいました。
私が高校生になりチャコもおばちゃん猫なためか1日のほとんどを寝て過ごす日々続きご飯もあまり食べれなくなってきました。
病院では病気ではなく歳のせいだろうと言われました。
その頃で17才を迎えていたのでそろそろかな… と家族の誰もが覚悟をしていた矢先のある朝チャコは珍しく玄関までお見送りしてくれました。
学校が終わり帰宅するとお母さんが泣きながら「チャコちゃんもうだめかも知れない…今日は一口もご飯食べないし水も飲まないの」
お見送りしてくれた時点でなんとかそんな予感はあってあまり考えないようにしてたけどもうさようならなんだね…
私は溢れる涙を止める事が出来ませんでした。
その夜寝ている間に逝ってしまうんじゃないかと不安でチャコの側にずっといましたがいつの間にか寝てしまったようで夢を見ていました。
私はソファに座り膝に乗せたチャコと話しています。
「泣かないで…またきっと会えるから また家族になってもいい?」
「当たり前だよ… チャコはずっとずっと家族だよ」
「また会ったらわかるように目印が必要だね」
「目印なんかなくてもわかるよ… 家族なんだから」
そんな会話だったと思います。
目を覚ましてチャコに触れると「ミャー…」と力無く鳴いてそのまま逝ってしまいました。
それから数年
私は結婚し子供を授かるを待ち侘びていました。
体質的になかなか出来にくいようで不妊治療を何度か受け治療開始から7年でやっと授かり出産…
元気な女の子です。
一つ気になるのが小さいけどハッキリと体に生れつきの痣がある事
目立つ場所ではないけど女の子だし年頃になれば気にするかも知れません。
医師によれば成長と共に薄くなったり消える事も多いとの事で年頃になり自分自身で消すかを任せよう…
そして娘も高校生になった今でも痣は消えず薄くなる事もありませんでした。
「その痣なんだけどね… あなたが嫌だ 消したい って思うならすぐにでも治療が出来るようにしてあるの」
「私は気にしてないよ」
「ならいいけど あなたも年頃だし彼氏とか… 見られたくないって思わないかなって気になって」
そんな心配をよそに娘は言いました。
「彼氏なんていないし いてもこんな所見せるなんてお母さん的OKなの?」
「それにね これは目印なの 私が私だってわかるように神様が付けてくれたって思ってるんだ」
今まで忘れていたものを思い出した瞬間でした。
「また会ったらわかるように目印が必要だね」
そっか…
目印がなかったらきっとずっとわからなかった…
チャコの左ももの模様…
娘の痣…
同じ場所だったね
なんで気づかなかったんだろう
ありがとう
チャコ
今やっと気づいたよ
また家族になってくれて
娘でいてくれて
本当にありがとう
これも昔読んだ実話を漫画にしたものに載っていたお話です。
怖くないけど感動したお話でした。
*猫の名前は忘れてしまったのでうちの猫の名前をお借りしましたm(__)m
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話