文才もないし、怖くもないし、長くなるかも知れないので苦手な人はスルーしてください。
そうだな、毎年この季節がくると思い出したくなくても、そうなるんだが。
小学生だった頃、夏休みに田舎に帰省しザリガニやサワガニやカブトムシやクワガタやら捕まえた記憶はある。自称、都会で育った俺は夏休みの帰省はウキウキしてたもんだ。
そういや、畑の野良仕事も手伝ってたな。
そんときゃ、外で遊びまくってた。
で、お決まりはヒグラシが泣くと
そろそろ家に帰ろうかって哀愁にも似た気分になったもんだ。
実際はまだ外は明るかったんで遊んでいたんだが。
んで、近所のガキ同士で探検行こうぜって話になっていったん家に帰り、懐中電灯、虫かご、長靴、後は微々たる食料…って、まぁ虫取りに行く格好なんだけどな。
さぁ、着替えて集まった。
ここで自己紹介しとく。
俺
寺の息子(通称:和尚)
ガキ大将(通称:ゴリ)
お姉系男子(通称:たけおちゃん)
の四人のメンバー。
ま、創作みたいな面子だよな。
その辺、歩けば何か取れるでしょって話になった。
子供らしい浅はかな考えだね。
田んぼでは牛蛙が
モーモーと泣き出した結構時間がたっちまったのかな?
なんの収穫もないときて、ゴリが
山に行こうぜってなった。
通称、マムシ山って言うんだけど
山にはヤマンバがいるとかモノノケがいるとか、とにかく地元の人でもあんまり行かない。
都会から来た俺はすごいウキウキしてたっけ。
毎日が飽きなかったよ。
さて、前おきが長くてすまない。
本題はゴリの提案でマムシ山に行くわけなんだが、何故か曰く付きの山って虫やら川魚とか山菜が豊富に、とれるよう。
和尚は夜遊びは親父がうるさいからって理由で途中退場した。
たけおちゃんは帰るのも一人で怖いらしくついてきた。
山に行かなきゃよかった。
山に入った俺たちはウキウキしてた。けど、ヒグラシの泣く声も止んで辺りはすっかり静かになった。
俺「なぁ、帰ろうぜ」
俺は、なんか虫取りなんかどうでもよくなってた。
所詮、軽いノリだったし何より家に帰りたくなかった。
たけおちゃんは正直一番迷惑だな。
けど、それはゴリがあの言葉を言うまで。
ゴリ「なぁ、なんか小屋が見えるぞ!行ってみようぜ。明るいし人がいるぞ、きっと」
俺「マジ?…腹減ったなぁ」
たけおちゃんは俺たちの横で縦とも横ともわからず、首をブンブン振ってる。涙目。
俺「ちょっとだけなら…。持ってきたお菓子もなくなったしなぁ」
子供って怖いもんないんだな。
マムシ山に小屋?ヤマンバとかいたりして…
なんて今なら思うのにな。
獣道みたいな所をとぼとぼ歩いた。
距離にしたら大した事はないんだろうが、少し登り坂がきつくなってきたと思った。
ゴリ「すいませーん」
俺「あのー誰かいますかぁ?」
返事はない。
ゴリ「戸が空いてるぜ!入ろう」
俺は厚かましいと思った。ほんの少しだけってスケベな心もあった。
ジュースなんかあるかな。冷たいキンキンの。浅はかなバカの考えだ。
ゴリが戸を開けた。
ゴリ「お邪魔します」
誰もいない。
ランプの明かりがやけに眩しかった。当然、電気は通ってないんだろう。洗濯機、冷蔵庫、テレビ…文明の欠片もない。
ゴリ「なぁ!おい、入ろうぜ」
俺「なんだよ!やっぱよくないって」
そんな時だった。
ニコニコとしたオッサンが出てきた。いや?じい様か?
俺らはギョッとしたが平然取り繕いこんばんはと挨拶をした。
たけおちゃんは俺の影に隠れてた。
爺「何しとる?」
俺らは黙ってた。
爺「あぁ虫採りにきたか?」
俺達の格好を見てそう言った。
爺「まぁ入んなさい」
すんなり中に入れた。気味が悪かった。けど、イイ人そうだと思った。
木の良い匂いがする。木こりなんかな?家の中には所狭しと薪がつんである。
爺「坊たち、腹減ったか?」
タイミングよく腹がなった。恥ずかしかった。
爺「なら、飯食うか?」
そんな気の利いたものがあるのかと思った。じい様は懐から取り出し、笹に包まれた笹餅をくれた。
ゴリ「いただきまーす」
俺は食べなかった。なんか怪しかったからかな。
たけおちゃんはゴリにあげてた。
俺は猛烈な眠気に襲われた。
なんだろな。
うとうとしながらじい様が言った言葉が何故か耳に残った。
爺「マムシ山って蛇の蝮だと思うだろ?本来の意味は目が無いって言うんだ。つまりは目無山(めなしが訛った?)登れど登れど先が見えない。ようは迷いやすいんだろな。だが、この辺はよく山菜が採れるぞ、もちろん虫もなぁ」
そこまで聞いて何故かヒグラシの鳴く声が聞こえた。
俺は起きたら山の入り口で寝ていた。なんだろなって思った。
夢か確かめる為にじい様からもらった筈の笹餅がポケットにあるはず。
手を入れたら小さなポケットいっぱいに訳のわからん木の実が入ってた。
あれはなんだったんだろ?
この、季節になると思い出すなぁ。
駄文失礼しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話