短編2
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隣人

僕は家賃3万8千円(水道代込み。風呂・トイレ付き。)の安アパートに暮らす貧乏学生だ。

近隣のアパートの相場は5、6万だから、激安という程ではないが、やはり水道代込みでこの値段は安い。

なのに、結構空き部屋がある。

確かにアパートの外装はボロい。

だけど、室内はリフォームしたばかりで、とても綺麗。日当たりも良い。

住み始めたばかりの頃は、もしかして昔何か事件でもあったのかな?とか、

幽霊でも出るのかな?なんて考えたりもした。

だけど、実際には何事もなく、平和な日々が続いた。

そんなある日。

僕は深夜、部屋で一人、酒を飲んでいた。結構酔っていたけど、まだまだ思考は正常。

アップテンポな音楽を聴きながら、少し陽気な気分になっていた。

僕は音痴だから、普段は殆ど歌わないんだけど、一人だったから誰にも聞かれないし、

お酒の力も加わって、ついつい声を出して歌っていた。

そしたら、隣の部屋から

「ドンドンドンッ!!」

と勢い良く、壁を叩かれた。

僕は、ヤバい!声が大き過ぎたかな?と思って、すぐに歌うのを止めた。

すると、壁を叩く音も止んだ。

ホッと一安心。

あれ?

僕が住んでる部屋は2階の角部屋(205号室)。

僕以外で2階に住んでる人は一人だけ。

その人の部屋は201号室。

202、203、204号室には誰も住んでいない。

じゃあ、たった今、204号室から壁を叩いたのは誰なんだ..

一気に酔いが醒めた。

僕はどうすることもできないので、とりあえず、204号室側の壁に向かって、

「音痴ですみません。」と謝り、布団に潜り込んだ。

その後は特に何も起こらなかった。

204号室から、たまに足音が聞こえるけど。どうやら隣人は一人ではないようだ。

冗談だと思われるかもしれないけど、実際に体験すると非常に怖い。

今も同じアパートに住んでいる。

でも、アパートでは絶対に歌わない。

怖い話投稿:ホラーテラー オディーさん  

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