これは、今から4年前の出来事だ。
父親が、肺ガンでこの世を去った。58歳だった。
3才におばあちゃんを亡くした時とは、また何か違った、「死」に対する感覚を味わった。
それから、俺は寝つきが悪くなった。
死ぬことなんてまだまだ先、大袈裟にいえば半永久的に来ないんじゃないか、なんて思っていたはずなのに。
俺はこのとき精神的にかなり病んでいた。
さすがにやばかったので、近くのカウンセラーで診てもらうことにした。
父親が死んだことによるショックが大きいのでしょう。何かやりたいことを見つけて、生きる意味を見つけて。
死にたい、どうすればいいか、と相談しても、こんな何の励みにもならない回答しか返ってこなかった。まあ期待はしていなかったが・・・。
俺は言った。
「生きる意味なんて見つけたら死ぬのが怖くなるだろ。いっそ今の状態のまま死んだほうが・・・・。」
泣きそうだった。
すると、カウンセラーはこう言った。
「んじゃ、ちょっとしたゲームをしないか。」
話によると、俺みたいに死にたいと言ってくる人間はかなり多いらしい。
そして、そのカウンセラーは口を開いた。
「次にくる相談者が死にたい、と言ってきたら、10人揃う。それまで、控え室で待っていてくれ。」
言われるがままだった。俺は、頭が真っ白だった。
控え室には他に人がいた。俺も合わせると9人。
みな、目が虚ろで、生きた屍のようだ。
数時間経って、カウンセラーと、一人の男が控え室に姿を表した。
「さて、集まったな。」
そう言うと、カウンセラーの男は、
パン!パン!と手を叩き、大きな声で、
「それでは聞いてくれ。今ここにいる君たちは、死にたいと願い、生きることを拒んでいる集まりだ。そこでだ。今10人いるわけだが、誰でもいいから、二人ペアを作ってくれ。」
意味が分からない。
なんだこいつは?
正常な人間ならそう思うだろう。しかし、俺達は精神的に異常であり、否定せずまるで集団催眠の如く、ペアを作った。
続く
怖い話投稿:ホラーテラー 7さん
作者怖話