中編3
  • 表示切替
  • 使い方

幼いという事

つたない文章、読みずらかったらごめんなさい。

私は某県の海沿いに住んでいます。

あの恐ろしい大地震から3ヶ月も過ぎたというのに、未だに津波で亡くなられた方が浜辺に打ち上げられます。

もう見た目だけでは誰かなんて解りません。

全体の形でやっと「人」だと解るぐらいです。

一刻も早く身元が解る事を願っています。

そして私は、幼い頃にしてしまった自分の行為に、ただひたすら懺悔するのです。

あれは私が6つの時の、今のように暑くなりだした時期でした。

私の父は山で魚を釣る「渓流釣り」が大好きで、キャンプがてら良く山に連れていかれました。

とはいえ、私も自然が大好きだったので、嬉しかったのを覚えています。

父の後について山を進むと、小さな滝のある場所につきました。

滝に近付かなければ流れはかなり緩く、泳ぐにはもってこいの場所だったと思います。

しかし、深さは身長の高い父の腰ぐらいまであったので、砂利の河原で遊ぶように言われました。

絶対に川に入らない事、河原から離れない事、この2つを何度も私に言い、父は釣りを始めました。

持ってきた水鉄砲やバケツで夢中に遊んでいると、父はいつの間にか下流へと下って行ってしまい、姿が見えませんでした。

まぁ、これはいつもの事です。

今思うと幼い子供を1人にするなんてとんでもなく危険ですが……。

私は遊びに飽きてしまい、河原のまわりを散歩し始めました。

すると大きな岩の影に、何かが引っかかっているのが見えました。

それは父と同じぐらいの大きさで、全身が膨れあがっていました。

例えるなら……ゴーストバスターのマシュマロマン。

私は好奇心にかられました。

近くであれを見てみたいと思いましたが、大きな岩の下にいるので、幼い私には到底届きません。

私は自分の身長よりも長い木の棒を持ち出し、浮かんでいるそれをつつきました。

ぐっと力を込めると、重い木の棒にバランスをとられ、川に落ちそうになり咄嗟に棒を放しました。

ボチャンと棒が川に落ちてしまい、もう諦めようかと思うと、なんと、浮いていたソレが流され出しました。

ゆっくりと流され、やがて河原に流れつきました。

私は喜んでそれに近付きます。

しかし強烈な生臭さに「うっ」となり、鼻を押さえながらそっと近付きました。

それは水死体でした。

かなり時間が経っていたのでしょうか?全身ブクブクに膨れあがり、水色とも白とも言える色をしていました。

人間の肌とは思えない色で、幼い私には、それが死体だなんて解らなかったのです。

うつ伏せで顔が見えなかった所為もあるのですが、見えなくて良かったと今は思います。

そうして何なのか解らないそれを、私は興味本位で棒でつついてみました。

肉は柔らかくなっていて、柔い木の棒だというのに、簡単にズブっと入り込んでしまいます。

私はそれが面白くて、何度も何度も突き刺して遊びました。

すると細長い虫がいっせいに這い出てきました。

良く見てみれば腫れ上がった関節の節々に、ダンゴ虫に似た虫がウジャウジャとたかっています。

虫が平気だった私は、それをまじまじと眺めていました。

油断して鼻から息を吸うと、また強烈な生臭さに襲われます。

だんだんとそれにも飽きてきてしまい、私はそれから離れ、父の降りていった方向に歩いていきました。

やがて釣りをしていた父を発見。

河原を離れた事を、こっぴどく叱られました。

私は帰る頃にはすっかり見た物を忘れてしまい、次に思い出したのは中学生の頃、男子の悪ふざけで水死体の写真を見せられた時でした。

私は。

私は。あろうことか死体をおもちゃのように弄び、傷つけ、放置したのです。

幼いからといって許される事じゃありませんよね?

あれから生魚は一切食べられなくなりました。

魚売り場にも近付けません。

臭いだけは鮮明に残っているんです。

ごめんなさい。本当にごめんなさい。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ