こんにちはかつをです。
その日僕は、引越しの準備で朝からてんてこ舞いでした。
専門学校の卒業に合わせて引越しをしようと計画していたのですが、元々面倒くさがりで計画性など微塵も持ち合わせてない僕は、引っ越しの5日前になってこれはまずいと、慌てて荷物をまとめ掃除を終えた所でした。
僕は掃除を終え、纏めたダンボールの上に腰掛けこの家で2年も暮らしたんやなぁ、色々有ったなぁ。と感慨に耽りながら寛いでいたのですが、不意に有る事を思い出しました。
それは入居してから洗面所が矢鱈と詰まって水が流れにくい事をほったらかしにしていた事でした。
僕は家主に見つかったら色々うるさいかなぁ、僕に責任は無いのかもしれないけど掃除しとかないといけないなぁ。と思い仕方なく僕は洗面所の掃除を始めました。
とは言え、水周りの排水管の知識など全く皆無な僕は、取り敢えずゴム製のなんて言う名前か分かりませんがコッポンていうやつでごぽごぽやっていました。
そのうち多少水捌けが良くなって来た様な気がするものの、まだまだすっきりとは流れて行きません。
業者を呼んだ方がいいかな?でもお金無いし…と逡巡していると洗面台の下にネジで開ける事の出来る小窓みたいなのが有る事に気付きました。
ん?ここ開けたら、配管が見えるかもしれないな。
僕は業者を呼ぶ前に駄目もとで開けてみるかと思い、ドライバーでネジを緩め小窓を開けてみました。
小窓の中を見ると洗面台の下に有る為か明かりが上手く届かず、よく中が見えませんでした。
僕は中を見る為懐中電灯を使い中を照らしてみました。
小窓の中を懐中電灯で照らすと、ごちゃごちゃと配管があり、奥に何かビニール袋の様なものが見えます。
何やあれ?
僕は気味悪く思いましたが、手を突っ込んでそのビニール袋を引き擦り出しました。
中身を開けると、古ぼけた本みたいな物が有りました。
何でこんな物がこんな所に??
僕は中身を取り出しました。
本のタイトルは、
「陵辱特急若奥様の悲劇」
…官能小説かい!!
思わず突っ込んでしまいました。
しかし、水の詰まりはこれが原因では無かった様で苦笑しながら、再度中を懐中電灯で照らしてみました。
すると、どうやら先程のビニール袋が有った配管の更に奥の隙間に詰め込む様にしてもう一つ別のビニール袋が有る事に気付きました。
内心僕は次は何だ?とワクワクしながら最初の気味の悪さも忘れて、ビニール袋を取り出そうと腕を突っ込みました。
ん?何か引っかかるな?どこか引っかかってるのか?
僕は体制を整え力尽くで引っ張りました。
その瞬間、ごぽ、ごぽぽ、ごぽごぽごぼごぼ!!と言う音と共にビニール袋が引っこ抜けました!
うわっ!僕の腕と顔にヘドロの様な物がかかりました!
うぇっ!何やこれ!
そして、袋を見ると破れて中身がこぼれ出ていました。
そのこぼれ出ていた物を見て僕は思わず全身に鳥肌が立ちました!
その中身とは大量の縮れた髪の毛と使用済みなのか、大量の茶色く変色したコンドームでした!
他にもドロドロとしたヘドロの様な物もこぼれて来て吐き気を覚える程狼狽しました。
最悪や!なんなんこれ!?
めっちゃきもい!
更に先程の官能小説を手に取ると、本の間から一枚の紙切れが落ちました。
それを広げて見て再び僕は恐怖を覚えました。
其処には
「この土地とここに住まう者に呪いあれ!」
と汚い赤い字で書いて有りました。
僕はもうどうしていいか分からず取り敢えず取り出した物を慌てて小窓に放り込み、荷物は引っ越し業者に任せ逃げる様にそのマンションを出ました。
一体あの小窓の中に有った物は何だったのか、又いつから有ったのかは分かりません。
思い起こせば確かに僕がここに住んでいる間、原付でベンツにぶつかり後ろに乗っていた友人は骨折したり、又相手が悪かったのかチンピラみたいなやつで150万円むしり取られたり、等他にも挙げれば嫌な事が色々有りましたがそれが呪いによる物かは分かりません。
しかし、引っ越ししてからは特に変わった事も無く、平和に過ごせている事は確かです…
その後偶然そのマンションの横を通る事が有りましたが其処は何時の間にか取り壊されて更地になっていました。
その後も何度か通る事が有りましたが、結構住宅街としては立地がいいにも関わらず、駐車場にもならず更地のままでした。
結局呪いなのか何なのか何も分からず終いでしたが、最悪に後味の悪い体験でした。
気持ち悪い話に長々とお付き合いありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー かつをさん
作者怖話