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いわくのない部屋〜紅天狗編〜

短編2
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いわくのない部屋〜紅天狗編〜

俺がここに住み始めたのは、約4ヶ月前。

ちょうどお盆を過ぎた時期だったのを覚えている。

毎日毎日仕事に追われ、平日も休日もわからない日々を過ごしていた。

雪の降る今の季節になって気付いたのは、ここは隙間風が凄いという事。

まぁこのオンボロじゃ仕方ないけどな。

あと、お隣さんの話し声や生活音が聞こえてくる。

うっすい壁じゃそれも仕方ないな。

お隣さんにも俺の音が聞こえているだろうから、お互い様だ。

お隣さんとは顔見知りだし、毎朝挨拶する間柄。

少しの文句は飲み込もう。

隙間風と音漏れさえ我慢すれば、ここは駅も近くて便利だし、すぐそばには川が流れているし、緑も多い。

田舎育ちの俺には嬉しい立地条件だ。

家賃も激安だし。

でも不思議なのはここは、やたらと退去者が多いんだ。

けれど反対に入居者も多いらしく、すぐに満杯になる。

入れ替わりが激しい所なんだなぁ。

もしかしすると、いわくつきなのかも。

この近くは治安が良いとは言えないし、時々事件がある事も知っている。

2週間前なんて、殺人事件があったんだけど、被害者の方が知り合いの知り合いだったから驚きだ。

しかも俺と同業者だったらしい。

なんでも夜道で酔っ払いと口論になって、殴られた拍子に車道と歩道の段差で頭を打って亡くなったみたいなんだ。

あー怖い怖い。

俺も気をつけないとな。

そろそろ仕事に行く時間だ。

俺はブルーシートと段ボールでこしらえた家を後にし、アルミ缶を拾いに行く。

怖い話投稿:ホラーテラー 紅天狗さん  

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