とある古ぼけたアパート。
そこに住むチンピラ風の男性が、あることを理由に、大家に対して家賃の引き下げを要求していた。
そのあることとは、男性の部屋が『いわくつきの部屋』であるということだった。
男性のいう通り、確かにその部屋にはいわくがあった。
30年もの昔、虐待によって幼い子どもが母親に殺されるという事件があったのは事実だった。
返答に困った大家は『検討してみますので、明日まで待って下さい』と、その日はやり過ごした。
次の日、大家は男性の部屋へ出向き『やはり家賃の引き下げはできません』と伝えた。
『なんだとオラ!どういうことだよ!』
大家は言った。
『確かにあなたの部屋で昔、殺人事件があったのは事実です。ですが、他の部屋だって殺人が起きています。しかも、みなさんはそのことで何一つ文句を言ってきていません。何一つ……』
怖い話投稿:ホラーテラー 三流投稿者さん
作者怖話