約5年前、私は26歳で結婚しました。
夫とは1年ほど同棲してから入籍をしたのですが、その頃から私は夫に呪われ始めました。
嫉妬深く、依存的で、私の行動を逐一把握したいようで、知らぬ間にメールを転送されたりしていました。
夫はデザインの仕事をしていましたが、ある会社に引き抜かれて主任を任されていました。
入籍をしてたったの半年で私は夫に対し、何か奇妙な気持ちを抱くようになったのです。
入籍をしてから引っ越しを繰り返す夫。少しずつ、確実に引っ越し先は私の実家から遠くなっていきます。
ある日、夫と喧嘩になった時に、夫を睨み付けた私を見て、夫は怯えたようにこう言いました。
「みっちゃん(私)鏡見てきなよ…顔が笑っているよ…恐いよ」
私は激昂しているので、笑っている筈などありません。自分の顔の筋肉の強張りようからしても。
しかし、夫はそれ以降、喧嘩をする度にそう言うのです。更には「死ね!」と言われたので「何てことを言うの!」と言うと「幻聴じゃないの?」と言われました。
その繰り返しでした。私は自分が幻聴を聴いたり、怒りながら顔がにやついていることを真に受けるようになりました。
私は徐々に精神的に参っていきました。夫は私の行動を見張っているし、メールを転送されているのでうかつに友人にも愚痴れません。
私はある日家を飛び出し、つかまらないように民家の陰に隠れながら住宅街を抜け出し、道に出て夜中にタクシーで実家に逃げ帰りました。
母親から、忍耐力が足りない、あんたは我が儘だと言われましたが、兎に角私は恐怖で一杯で、母親から罵られても実家で暮らすようになりました。
数日後…夫は何の承諾もなしに大量の荷物や家具と共に私の実家に引っ越してきました。
私の両親は自営業をしており、ほとんど家にはいませんでした。私は夫と一見普通に暮らしていました。
母親は夫のことを「みっちゃんより1つ年下なのにしっかりしている」などと話していました。
私の家族は全員仲が良かったのですが、夫が同居するようになってから、次第に仲が悪くなっていきました。
夫「みっちゃん、お母さんが悪口言ってるよ。みっちゃんにお金盗られたって言ってたよ」
私「え?お金なんて盗ってないよ。そんなことうちのお母さんが言うわけないよ」
しかし、内容は忘れましたがリアルに細かく母親の言動を言われ、私は夫の言葉を信じるようになり、母親と口を聞かなくなりました。
母親はいつも通りでしたが。
そんな毎日が1年近く続いたある日のことです。私に何かが取り憑いていると近所のおばさんに言われました。
私は関西方面に友達もいないし、行ったこともないのですが、私が急にどすのきいた声の流暢な関西弁で怒鳴り出し、壁やドアを破壊したそうなのです。
私は咄嗟に「私は精神病なのでは」と言い、すぐに精神科を受診しました。医師は「うーん…解離していたのかなあ」などと言っていました。
数種類の向精神薬を処方されましたが、私の奇行と謎の関西弁は治らなかったようです。
私はメールを転送されていたり、精神的に参っているだけだと思いましたが、夫の母親が変わったカトリック系の宗教の熱心な信者だということが気になりました。
夫の母親が宗教にのめり込み、家庭は夫が幼少の頃から崩壊寸前だったことも知っていました。夫は近親相姦も体験したらしいです。
夫は私が3〜4メートル離れると「死ね」と言い、私が「何よ」と返すと「また幻聴始まったよ(笑)」とよく言うのです。
ですが私は幻聴と言われても、夫の「死ね」以外は聴こえたこともありません。自分が病気なのか、夫の嫌がらせなのかはわかりませんでした。
そしてまたある日、夫の車で喧嘩になった時に「みっちゃん、お母さんはみっちゃんのことが嫌いなんだろうね」と言われました。
「みっちゃんがお金を盗って行くから迷惑だって」と言われ、またかよ、盗ってもいないのに。と、半ば狂乱状態で私は車の助手席から電話を掛けようとしました。
夫は何故か鬼の形相で私の携帯を奪い取ろうとします。私は夫を突き飛ばします。夫は更に奇声をあげながら携帯を奪おうとします。
揉み合いになり、結局私は母親に電話をして問い詰めました。すると母親は
「○君はおかしい。誰を信じるか、間違えちゃ駄目だよ」とだけ言って電話を切られました。
私はその言葉に混乱し、もはや誰を信じれば良いのかもわからなくなりました。
私はある日、夫に、あなたの携帯電話を見せてくれと頼みました。夫は普段から「俺は携帯にやましいことなんかないからいつでも見せられる」
と豪語していたのですが、携帯を見せてくれません。部屋の中で揉み合いになり、夫が居間へ逃げました。私は追いかけました。
私の父も母も起きてきて、父は「携帯ぐらい見せられるだろう!」と言いました。しかし夫は頑なに拒みます。私は正気ではなくなり
カウンターに置いてあった刺身包丁で右腹部を刺しました。生温い血が吹き出しダラダラと流れます。父や母は「携帯を見せなさい!」と
夫に対して初めて怒鳴りました。私は床に倒れたまま「携帯に何が入っている」と言いました。
救急車で搬送される時にやっと携帯を見ることができました。私宛ての他愛もないメール(転送されている)に紛れていたのが
浮気相手とのメールでした。パチンコが嫌いな私に、交際前からパチンコなどしないと言っていた夫が、パチンコをしていることがわかっただけではなく
複数の男性とも体の関係を持っていました。出会い系サイトで男女両方と会っていたのです。
そして私は夫に呪われていたのです。
詳しくは書けませんが、呪いをかけていたことは把握できました。
救急指定病院で傷の深さを計る為に傷口に棒状の物を入れられ、再び生温い血が流れました。レントゲン撮影もし、傷はあと少しで内臓に達するところでした。
私はそれ以来、夫と家庭内別居状態になり、母親と自室で寝るようになりました。夫は物音も立てずに寝ているようだったので
母親と、今後の話をしていました。ふと、母親がトイレに行ってくると言い、ドアを開けたかと思いきや、再びドアを閉めて電気を点けだしました。
「お母さんどうしたの?」と私が言うと、深夜1時を過ぎているのに「部屋の掃除をしたくなった」と不自然に明るく振る舞い、部屋中の電気を点けました。
それから母はまんじりともせずに夜を明かしたようでした。私は昼になり、夫がいない間に母親と話をしました。
母「あのさ、トイレに行こうとしてドアを開けたら○君が目の前、至近距離に死んだような顔をして立ってたの。殺される!と思って…」
それで母は深夜にもかかわらず家の電気を全て点けたらしいです。
母は夫に「お願いだからもうみっちゃんから離れてやって。新しい部屋が見つかるまではいいけど、見つかったら出ていってください」
と頼み込んでくれた。私はやっと別れられると、ほっとした。しかし既に私の家族も呪われていたのです。
ある日私にお祝い返しの贈り物が届き、嬉しくて開封していると父が急に発狂し、私に向かってきました。父は何かに取り憑かれた顔をして
私の自室まで追い掛けてきて、部屋にあったデザイナーが作ったプラスチックの大きな照明を投げ、私の背中を足で突き飛ばし、私の脛はその照明の破片で傷だらけになりました。
何が起きたのか全く解らないまま、私は靴下のまま冬の夜道に逃げました。恐怖のあまり一週間実家に帰れず、ビジネスホテルに泊まり
そのまま、家具の揃ったアパートに急遽引っ越しました。何故か夫も着いてきて善人ぶっていました。
父の奇行のことが頭から離れず、私は引きこもりました。夫は嬉しそうに毎日のように豪華な食事をさせてくれたりしていました。
しかしやはり、夫が奇妙な作り笑顔をしているのが気になりました。やっと外出ができるようになってから、やはり私は夫の監視下におかれていることが恐くて
結局逃げました。何故なら、静まり返った住宅地にも関わらず、夜になるとカーテン越しでも明らかに複数の人間の気配を感じるのです。
以前、私が何かに取り憑いていると言っていたおばさんの言葉が気になり、恐くなり逃げて、アパートも解約し、夫には会わず
5ヶ月が経過した頃にひょっこり、母親の元に離婚届を持った夫が来たらしいです。夫は化粧をし、女装をしていたそうです。
離婚後は私の家族は今まで通りの明るく普通の家に戻りました。ただ、私が独身時代に購入したROLEXの腕時計やゲーム機、アクセサリーなど
お金になりそうな物は一切無くなっていました。そして何故か夫の父親から私に慰謝料、と言って大金が送られてきました。
そう言えば思い出したのですが、披露宴でご祝儀を沢山いただき、数十万円黒字が出たのですが、夫が預金すると言ったので預けていたのに
数日後に車内から盗まれたという騒ぎが以前ありました。警察に届けることを頑なに拒否し、上司から穏便にと言われたからできないとの一点張りでした。
今は私は県外で新しい恋人と暮らしていますが、元夫は現在は女性として暮らしていると噂で聞きました。
また、元夫の元カノと偶然に連絡が取れたのですが、彼女も交際していた頃に精神を病み、引きこもりになり実家に逃げ帰ってから治ったそうです。
元夫は怨念の塊だと聞かされて、背筋が凍りつきました。元カノは本当に病んで、気付いたら暗闇でリストカットをするほどだったそうです。
私も元カノも今ではあれは何だったのだろうと言うほど元気で普通に仕事をしています。
霊的な話ではありませんが、とても尋常ではない出来事が他にも沢山ありました。
生きている人間の妬みや怨みの力は、実際にあるのではと思い投稿しました。
長文駄文ですみません。
私は霊感が強いので、他にも話はありますが、今回は恐ろしかった人間との関わりを書きました。
元夫は現在は何故か破産をしており、男性に恋をして、追い回しているそうです。
怖い話投稿:ホラーテラー みっちゃんさん
作者えりか