去年の秋頃、真夜中の国道を家路へと急いでいた。
日中はまだ暑さが残るが、晩には肌寒さが感じられる。
早く帰って風呂はいりたいななんて考えてたら、
遠くからジョギングしてるおじさんが近付いてきた。
何かが変だと思ったら、おじさん白黒なんだよね。
フルカラーの夜の町の中、走るおじさんだけが白黒。
お化けだ。
初めて見た。
ぐんぐん近付いてくるおじさん。
ランニングと短パン、キャップをかぶってる。
細身だけど鍛えられた足が印象的、でも白黒。
恐々道の端に避けたら、快調に脇を通り抜けて、夜の闇に消えて行った。
足音はしなかった。
俺のことなんか完全に無視。
怖さより奇妙さだけが残った。
おじさんは死んでも健康になりたかったのかな。
作者蝸牛