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中編3
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蛇骨のネックレス

『ソレ』はいつも行く、コ小さなアクセサリーショップにあった。

店内に入ると、店主が奥の机でシルバーアクセサリーを何かの機械で削っている。

そんな店だ。

いつもは何か素敵なピアスは無いものか、と狭い店内をウロウロするのだが。

なぜか真っ先に『ソレ』に目が行った。

店の一番奥。

店主の横に無造作に掛けてある。

「それ…何ですか?」

 「あぁ、材料蛇の背骨だよ」

「いくらですか?」

店主は少し考えて

「八千円かな」

「ソレ下さい」

…今思うと不思議な話だ。

いつもは二千円前後のピアスを眺めるだけ眺めて

「高いなぁ…でも…ぅーん」

なんて、優柔不断を体現したようなボクなのに。

『ソレ』のかもし出す何かに引かれたのかも。

その時期ボクは、同じホテルで働いていた彼女が居ました。

二人とも寮に住んでいたのですが、殆ど彼女の部屋で一緒に寝るのが日課でした。

その日も、風呂に入り、一息ついてから部屋に向かいました。

何故か入浴時も外さなかったネックレスと一緒に。

一通りイチャつき、明日の朝も早いからと、早々に床に着きました。

寝ようとすれば仕事中でも寝れるボクは直ぐに睡魔に誘われました。

どのくらいたっただろう。

何か寝苦しい…。

絡み付くような…。

そんな気分の悪いなか、気付くとボクは暗い部屋のなかにいた。

四角い、コンクリートがむき出しの。

四方が、いや上下あわせて六方が同じような。

何か箱の中にいる感覚。

そのなかで、なぜか豆電球のような明かりが点いた。

誰かが立っている。

うつむき、手をダランと下げ、直立する誰かが。

不思議と恐怖心はなかった。

ボクはそいつが誰か知っているような気がした。

しかしおかしい。

やたら頭が上にある。

感じ的にボクと同じくらいの背丈なはずなのに。

どうやら黒い縄で首を吊っているようだった。

「ああそうか…」

恐怖より悲哀に似た感情があふれた。

ボクはそいつをそっと下ろし、寝かせた。

よく見るとそいつは

『ボク』だった。

目の前の『ボク』は

急に目を開けた。刹那

首に掛かった黒いロープがボクに当たった。

驚いてロープの先端を握り、払おうとする。

掴んでみて、頭にあったロープの感覚と違ったものが指先から伝わる。

ソコには舌をチョロチョロと出し入れする何かの頭があった。

蛇だ。ロープじゃない、黒い…いや、赤黒い蛇だ!

その蛇がボクの体に噛みつこうとした瞬間、

場面は変わった。

そこはいつもの光景だった。汗だくで、息を飲みながらも上半身を起こし、辺りを見回す。

何も変化はない、彼女の部屋だ。

月明かりが窓から射している。

明かりは彼女をてらした。

ホッとした。

冷静にもどり、汗で濡れたシャツを替えようとベッドを立とうとした時。

後ろから

「御霊…間も無く…」

月の逆行で影のように浮かび上がった彼女の上半身があった。

ただその目は彼女の目ではなく、鋭い、獣のようなそれだった。

次の朝、目覚めると玄関だった。

傍らには千切れた『ネックレス』

冷や汗が頬を伝わったのがわかった。

その彼女とはもう別れてしまったが、

今でもあの夜のコトは怖くて口に出来ない。

「御霊、間も無くもらい受ける」

怖い話投稿:ホラーテラー ダテコさん  

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