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短編2
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ノックの音

仕事で地方行く用事が出来て、時間の関係で前の晩に新幹線乗って一泊することになったのね。

前日に同僚と話してるとき、予約したホテルの名前いったら「お前知ってる?そのホテルってさあ」っていつもの調子で話し出した。

そいつはその手の話大好きなんだけど俺は凄く臆病だから絶対聞きたくない。

「バカやめろよ。言うなよ。言ったらぶっ飛ばす」って慌てて遮って、そのときは聞かずに済んでホテルに着いたんだけど、俺くらい臆病な奴なら分かると思うけど、そういう時って、一回恐いって思ったら終わりなんだよね。

夜になると寝るのも起きるのも身動きするのも嫌で、もう朝になるの待つしかない。

次の日は大事な商談があるのにもう寝るの諦めて、どっかの飲み屋でも行って時間つぶそうと思い始めたとき、

ドンドンドンドン

誰かが部屋のドア叩いてるんだよ。

心臓止まんなかったのが不思議なくらい怖かった。

ドンドンドンドン!!

幽霊?火事?知り合い?なんか事故でもあったのか。

とりあえず電気点けたんだけど、ドア開けるのは恐かった。

そのまま「なんですか?」って答えてみたら、叩く音はピタッとやんで、そのまましばらく身構えてたけど何にも言ってこない。

もう寝れる状態じゃない。

しばらくしたら、

ドンドンドンドン

ってまた叩く音がして、

「なんかあったんですかー!?」

でも返事は無い。

本当に緊急ならホテルの人間が何か言ってくる筈だ。

鍵も開けられるだろうし、部屋の電話も携帯電話もある。

フロントに電話しようと思ったんだけど、何故か他人とのコンタクトが凄く不安になってきて、「なんか変なのが電話出たらどうしよう」とか気になってなかなか受話器が取れなかった。

ガチャガチャガチャ

ノブを回す音…本気で限界だ。

入って来る気だよ。

どうしよう。どうしよう。

早くこの時間が終わることだけ祈って、空が白くなって、だんだんドアを叩く音の間隔が長くなって、とうとうやんだ。

フロントに電話して急いでチェックアウトしたいって言って、あとは、普通。

そんで、前にホテルの話をしかけた同僚つかまえて、

「あそこ何かあったのか?」って聞いてみたら、数年前に火事があって、大した火じゃなかったんだけど一人死んで、それから出るとか出ないとか。

まあ、そういう話だよ。

つまんなかったかもしれないけど俺の中では最高の怪談です。

でも、ちゃんとオチもついたんだ。

そもそもそいつは何で死んだか。

逃げ遅れたんだけどさ。単純に。パニックになってたか、壊れてたか知らないけど部屋の鍵が開けられなかったらしい。

だから「やっぱ幽霊だったんだな。開けなくて良かった」って漏らした俺に同僚は言ったよ。

「なんで?そいつ部屋の中から外に出たくてドア叩いてたんだろ?」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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なるほどね!オチがないアホなホラー話よりよほど良い(^ω^)

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