多重投稿で申し訳ない。
コレはボクが「蝸と蛙と…」で紹介した例の『獣道』で体験した話…。
しかし恐怖の対象は霊のみとは限りません。
人間も十分過ぎるほど怖いょ…
この頃のボクは恐怖体験は多いものの、どこかそういうものに麻痺していたのだと思います。
(上司に怒られるほうが怖かった…まぢで…)
その頃DVDカムを買ったんだ。
特売で安かったからさ。
使い道もないのに…。
撮るものもなく3日ほどすぎたある日、仕事先からボロボロの体を引きずり、部屋に帰ってきた。
コンビニで買ってきたパンとジュース、フライドチキンを食べ尽くし、「風呂はいるまえに彼女に電話でもしておくか」とポケットに手を入れた。
無い!落としたかっ!?まさかレストランにっ…?
時計を見ると12時前後。連絡しないとまた彼女にどやされる。
…取りに行こう。
防寒具を身につけるボク。さぁ行こう、と靴に片足を入れた時。
DVDカムが目に止まった。
「…証拠録っとけば彼女も納得するし、話の種にもなるかも…」
ボクは道中を記録しながら向かう事にした。
『獣道』を歩いていると、前から人が歩いてきた。
暗いのでよく見えない。
そのまま近づいていくと、ソレは同年代くらいの男だった。
この時間の『獣道』は、ホテルから寮へ帰るひと位しか使わない。
暗いし、たまに猪がでるからだ。
同業者だと思い、顔を見る。無表情の上、知らない顔。
部署が違うんだろうな、と思いつつ、「お疲れ様でーす」と、ボク。
通行人は何も言わずに行って終いました。
気にも止めず、自分にカメラを向け、実況しつつ足早に歩を進める。
従業員通路から入り、エレベーターにのる。
案の定ケータイは真っ暗な休憩室の中にあった。
闇の中に響くバイブレータの振動音と、チカチカと瞬くディスプレイの光は、どことなく幻想的で、またボクの思考を恐怖に染めるに十分だった。
ケータイを取り、足早に外へ。
軽く走りつつ彼女へ言い訳の電話。
「ふーん」とそっけない返事に、ボクは20分後に行くと告げ、電話を切った。
部屋につき、カメラを置き、入浴セットを持ち、DASHで共同風呂へ。(風呂の使用時間が1時まで)
超速で10分。
服を着るのに5分。
部屋で一服約5分。
時間がきたので彼女に電話、部屋に向かう。証拠の映像をとったカメラを持ち。
部屋に招き入れられ、とりあえずタバコに火をつけた。
遅くなった言い訳しながら、顔をふくらました彼女にさっきの映像を再生して見せた。
映像を見終わった彼女に、得意気に「ホントだろ?」とはなつ。
彼女の一言は、想像していたそれとは違った。
「…何…これ…?」
彼女は目を見開いている。
きょとんとするボクに、彼女はカメラを操作し、ある場面を見せた。
場面は『獣道』。
若い男とすれ違った所だ。
……………
場面は過ぎたが…
違和感がのこった。
カメラはボクに向いて居たのだが、すれ違った男が妙なのだ。
簡単に言うと、前を歩いている人を追い越した感じ。方向転換している感じではなく、あくまで追い越したようにうつっているのだ。
確か前から歩いてきた人とすれ違ったような。
毛穴がひらくのを感じた。
…だが、彼女はそれを知らないハズ。
カメラはずっとボクに向いている。
グルグルまわる思考のなか、映像は進む。
場面は帰り道。
従業員通路のドアを出るときだ。
小走りだった為か、画像がぶれてしまっていた…が。
ボクが出た後
閉めたドア
ゆっくり開くドア
中から人が
あの男
『獣道』ですれ違った
あの無表情の男
ぞっとした。
小走りだったからか、そのあと男はうつってはいなかった。
「ねぇ、この人知り合い?おいて来ちゃったみたいだけど…ケンカでもしたの?」
絶句。
ボクは……すれ違ったあの男に。
すれ違ったハズの男に
ずっと
ツケラレテイタ
ずっと………
怖いので考えるのを止めて甘い夜に舌鼓を打った。
(我ながら愚直な思考回路だ…)
それから
箱根を去るまで
その男を見掛けることは
なかった。
っつかどうせ追っかけるなら可愛い女の子とかだろっ!!
なんでボクナンダョっ!?バイかっ!?
それから今まで
夜道で振り返る毎にドキドキです(--;)
怖い話投稿:ホラーテラー ダテコさん
作者怖話