短編2
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血まみれの少女

予備校で知り合った友人から聞いたある離島での話です。

その島には心霊スポットで有名なトンネルがありました。

トンネルの真ん中辺りでクラクションを3回鳴らすと、女の幽霊が出るというありふれた怪談話があるトンネルです。

ある夜、4人の若者が怖いもの見たさでその怪談を実践することにしました。

田舎道をしばらく車で走りそのトンネルに到着。

クラクションを鳴らし暫くトンネル内にいたのですが何も起こりません。

何度も往復して試したのですが結果は同じ。

興を削がれた4人は最後にもう一度やって帰ることにしました。

しかしやはり何も起きませんでした。

「なんだよ!結局ただの噂かよ〜」

失望と安堵を感じながら4人はトンネルを出たところで車を止め、これから何をしようかと話し合っていました。

その時4人のうちの1人が言いました

「なぁ、向こうから誰か来てるよな」

ヘッドライトに照らされ、徐々にこちら側に歩いてくるそれは血に染まった洋服を着た少女でした。

「うわぁ−っ!」

車を急発進させ、何かを訴えるようにこちら側へ歩いて来ていた少女の横を一気に通り過ぎました。

追いかけて来ていないことを確認した頃に

「気分が悪い。吐き気がする」

という友人のためにポツンとたたずむ街灯の近くに車を止めました。

「やっぱり出た〜。こえ〜。」

などという話をしていると、対向車線から来た車が止まり、運転席から顔を出したおじさんが

「こんなとこで何してるんだい?ここは女の子の幽霊が出るって有名なんだよ」

と言いました。

それに対し彼らは

「それが出たんですよ!!」

「血まみれの女の子がトンネルの方向に向かって歩いてました!!」

と言いました。それを聞いたおじさんは

「そうか。悪いことは言わないから今日は早く帰りなさい」

と言って走り去って行きました。

次の日、新聞で[〇〇トンネルで少女殺害]という記事を1人が見ました。

4人は集まり、助けられたかも知れない少女を置き去りにしてしまったことへの後悔を次々に語りました。

しかしあの状況では自分達にはどうすることもできなかったと結論を出し、その日は解散しました。

数日後、[少女殺害の犯人逮捕]の記事を見て4人に戦慄がはしりました。

犯人の顔はあの日自分達に声をかけてきたおじさんだったらです…。

この話は事実として又聞きしたものなのですが、実際はどうなのかわかりません。

ありふれた話を長々とすみません。

怖い話投稿:ホラーテラー マメさん  

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