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短編2
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ビデオテープ

ある男が、ビデオを借りようとビデオ屋にいた。

特に目新しい物は無く、何も借りずに店を出ようとした。が、あるビデオが男の目に止まった。

「ノコギリ」

カバーの無い剥き出しのテープに、題名が書いてあるラベルが張ってあるだけだ。それも手書きである。

男はその妙なビデオに興味を持ち、借りる事にした。

家に帰り、ビデオデッキにテープを入れる。始まった。

何の前触れも無く始まる。ノコギリを持った男が林の中を走っている。

ボロボロの服を着、右手にノコギリ。そして無表情だ。

走る。ただ走る。

10分、20分、30分。

場面は変わらず、ノコギリを持った男が無表情に走っているだけだ。

男は退屈になり、ビデオを止めようとした。

が、突然場面が変わった。林を抜け、今度は町の中を走っている。

そして住宅街に入り、一軒の家の前で立ち止まった。

そしてノコギリを持った男は、家の門柱を切り始めた。すさまじいスピードで。恍惚の表情で。

男はしばらくビデオを見ていた。

が、何かを感じた。

既視感。

そして気づく。

「これは俺の家だ」

男は窓から外を見た。

いる。 ビデオと同じ。ノコギリを持った男が、門柱をノコギリで切っている。恍惚の表情で。

男は止める様ノコギリを持った男に向かって叫んだ。

が、ノコギリを持った男がやめる様子はない。

男は考えた。ビデオを止めれば良いのではないか、と。

ビデオデッキの停止ボタンを押す。

そして外を見る。

ノコギリを持った男は消えていた。

外に出て、門柱を見る。半分ほど切られている。

門柱の側には、ノコギリが落ちていた。

今もそのノコギリは、大事に保管してある。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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