これは私が中学生の頃の話です。バスケットボールの全道大会に出場するために泊まったホテルでの出来事です。そのホテルはとても古く、個人的にはあまり泊まりたくない所でした。
私たちの中学生は人数がなく、当然部活も他校と比べると人数が少なかったです。
なので、ホテルの部屋も2部屋あれば充分でした。
上下関係なんて当然無く、みんな仲良しだったので、夜はみんなでワイワイ楽しんでいました。
ふと、Sちゃんがトイレに行くと言い廊下に出ようとしました。
みんなはけっこう騒いでいたので気にもとめず。テンション上がりまくりで。今思うと、あの頃あんなに何が楽しかったんだろうと思うときがあります。
Sちゃんが部屋のドアを開けました。
ガチャッ
shake
Sちゃん止まる。
もちろん誰も気付きませんでした。
バンッ
shake
Sちゃんがドアを閉めました。
大きな音に全員の笑いがピタッと止まりました。
数秒間シーン…
みんな「ど…どうしたの?」
Sちゃん、振り向いて不思議そうに話し出しました。
「えっと…誰かいる。」
「誰かって?泊まってる人じゃないの?」
「かなぁ?でもね、なんか足は見えたんだけど…」
「なにそれ?どんな格好してた?」
「赤いズボンはいてた。でも下半身しか目に入らなかった。部屋のすぐ前に鏡あるよね?あれは視界に入った。でも、上半身は見えなかった。」
「??その人廊下歩いてたの?」
「こっち向いて立ってた。」
「え…」
ここで全員ピタッと止まりました。
「そのドアの前にいるの…?」
「かな…?どうしよう?(苦笑)」
全員怖くなってしまってギャーギャー騒ぎ出しました。
誰も部屋の外を確かめようなんて思いませんでした。
しばらく騒ぎ続けてたら
コンコン
っと、ノックが。
もうパニック状態。
「ぎぃぃぃやぁぁーーーーぁ!!!!!」
↑みんなこんな感じでした。
「どうしたの!!何騒いでるの!?」
ノックしたのは先生でした。
先生以外に誰かいるかもしれない。
でも、意を決してドアを開けました。
そこには先生が鬼のような顔をして立っていましたが、その時はすべてを救う天使に見えました。
先生に全て話すと
「やだ、なにそれこわーい!でも…他のお客さんもいるから騒いじゃダメさ!」
「はーい。あー、怖かったねー。」
そんな感じでその夜は終わり、翌日、何事もなかったかのようにボロ負けして帰ってきました。
作者退会会員
「暖簾の先に」 というお話を読んだときに思い出しました。