東京の会社でOLとして働くA子は、男友達2人(B、C)と3人で、とある雪山の上にあるロッジを借りて遊びに行くことになった。
A子以外は皆、その日仕事があり、A子が先に一人でロッジへ行き、夕方ごろに残りの2人が、一緒に車で来る予定になっていた。
A子は一人、バイクに跨がり、ロッジを目指していた。空はまるで、これから起こる惨劇を暗示しているかのように、灰色へと深く染まっていった。
外では雪が降り始め、先にロッジに到着したA子は、暖炉に火を起こし、凍えた身体を暖めながら、二人が来るのを待っていた。
だが、夕方を過ぎても二人は一向に来る気配がない。
A子は、この雪で道に迷ってしまったのかと不安になり、電話をかけてみるが、二人は電話に出ない。
しばらくすると、玄関からドアを叩く音が聞こえてきた。
ドンドンドンッ!
A子は、あ、B君とC君が来た!と思い、急いでドアを開けた。
そこには、顔や腕から血を流しているCが立っていた。
「C君!!一体どうしたの!?」
「…ここに来る途中、車が、崖から落ちたんだ…。
Bが、ふざけてハンドルを切って、それで、ガードレールに突っ込んで…。」
「そ、そんな…っ
…ッ!B君は!?B君はどうしたの?」
「Bは、駄目だった…。
俺は、どうにか助かったんだけど、Bはもう…」
「な、…なんでっ…」
その時、
ドンドンドンドンッ!
誰かがドアを激しく叩いている。
「だ、誰!?」
「俺だ!Bだ!開けてくれ!!」
「…B君!?B君なの!?」
「その声っ……A子か!?
そうだよ!Bだ!A子、頼むから開けてくれ!!」
「B君!?待って、今開けてあげるから!」
「駄目だ!!開けちゃいけない!!」
ドアを開けようとするA子の前に、Cが立ちはだかった。
「なんでっ!?B君生きてたんじゃない!開けてあげなきゃ!!」
「いや、確かにBは死んだんだ。
きっと死んだBが、A子を道連れに連れて行こうとしてるんだ!!」
「でも、例え死んでても、こんなの可哀相!
お願い!開けさせて!」
A子は泣きじゃくりながらCに頼んだ。
そうしている内に、Bの声も段々と弱っていく。
「A子、頼む…開けてくれ……頼む…」
「A子、駄目だ!」
「C君、ごめん!」
A子はとうとう耐え切れなくなり、Cの制止を振り切って扉を開けた。
そこには、身体中傷だらけのBが立っていた。
「ごめんね、B君が死んでるって分かっていても、助けてあげたかったの。」
Bは言った。
「A子、しっかりしろ!
違うんだ!
事故で死んだのは俺じゃない、Cなんだよ。」
「え?」
A子は驚き、後ろを振り返ったが、そこにはもうCの姿は無かった。
「そ、そんな…
じゃあ、C君は、私たちを道連れに、連れて行こうとしてたの?」
「ワタシ達?」
「え?」
A子が振り返る。
Bが、白目をむいてA子を睨んでいた。
「オ前モ行クンダヨ」
怖い話投稿:ホラーテラー 特命さん
作者怖話