約五年前に私が実際に体験した話です。
当時の職は調理師。
都内数店舗を経営している会社で、私はある店舗の店長の補佐として働くこととなりました。
一年ほど経った頃でしょうか。
その頃になると、店長抜きで店を任せられることも多くなり、その日もアルバイトと一緒に閉店作業に取り掛かっていました。
作業終了はいつも深夜2時頃だったと思います。
各々の作業終了時刻に多少の差はあれど、店を出るのはいつもみんな一緒だったのですが、
その日は私の仕込み、発注作業が大幅に遅れていたため、バイトを先に返しました。
意外なことに一年勤めて初めて、深夜に店内に
一人でいることになったのですが、、
冷静に考えれば、あの時私自身敏感になりすぎていたかもしれません。
それは、店が比較的高級住宅地に位置し、近くに大きな公園。
夜は人通りが少なく、街灯が少ないことも手伝って、一年で店に空き巣が2度。
深夜に路上で女性が襲われるといった事件も発生していたからです。
仕事を終え、店内で一服。
根拠はありません。
しかしその時確かに何かの気配、視線を感じました。
恐怖を感じて急いでコックコートを脱ぎ捨て、帰りの身支度を整えました。
電気を消し、セキュリティのスイッチを入れ、暗闇の中出口へ向かい、外に出る。
「警備を開始しました」
機械的な音声をガラスの扉越に確認したら鍵を掛ける、、、
まさに鍵を掛けた瞬間でした。
同時に鳴った店内の電話のコールを聞いて、体が凍りつきました。
今まで聴いたことの無いコール音でした。
電話の故障か何かだと思うのが妥当でしょう。
しかし見えない何かに呼ばれてる気がしてならない私は、電話を取りに行かず、急いで自転車を走らせました。
しかし、きっと近いうちに、その聞いたことのないコール音の意味を
知らされるような気がしてならないのでした。
数日後、いつものように忙しいランチタイムを過ぎ、仕込みに取り掛かっていた時でした。
突如。あの夜と同じ。妙に甲高く聞きなれないコール音が鳴りました。
「きた、、」とうとう知るときが来たな、と思いました、、。
ふと電話に目をやると、コールが鳴っているのにもかかわらず、子機がありません。
バイトの子が子機を握っています。
たまらず店長に聞きました「あの音なんなんすか?聞いたこと無いんですけど??」(正確には2度目ですが、、)
店長の説明を聞いて愕然としました。
「あの音は子機から親機に向けてある操作をした時にしか鳴らないコール音。〇〇ちゃんは今間違って(ボタン)押しちゃったみたいだね。」
じゃあの時は何?
店内誰もいないし、子機はもちろんセットしたままなのに、、
嫌な予感は当たるものです、、。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名らいだーさん
作者怖話