私が中学校の教師という職業について、どうしても忘れることのできない生徒がいます。
二年生の担任だったとき、隣りのクラスの女子生徒が自殺しました。
首吊り自殺だったそうです。遺書も無く、イジメに遭っていたという話もありませんでした。
全校集会が開かれ、自殺のこと、人が死ぬこと、命の大切さなど道徳的な話がされました。
その日の放課後のことです。
私のクラスの女子生徒が職員室に来ました。
その子は内向的で友達の少ない生徒でしたが、真面目ないい生徒でした。
…先生、呪いで人を殺したら罪になるの?
最初は何を言われたのか理解できず、聞き返しました。
…誰かを呪って、ホントに死んじゃったら、犯罪なの?悪いことなの?
そう言った彼女はすでに泣いていました。
ああ、この子はきっと。そんなことをしてしまったんだな。
今でも、そのときの私の答えは模範的だったと思います。
…そうだね。法律では罰せられないけれど、とても悪いことだね。もしそんなことしたら、 一生罪悪感に苦しめられるんだろうね。
そう答えました。
そのときのその生徒の顔が、今でも忘れられません。
「そっか」
安心したような、もうどうでもいいような。
その表情が忘れられません。
私が話を続けるより先に、彼女は職員室から出て行きました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話