ボクがまだうら若き美青年だった頃の実話です。
広い新宿の地下街でどこを歩いているか分からなくなりふと小用をたしたくなったので、あまり人通りのない場所でトイレに入りました。
誰もいないトイレには小用の便器が三つ並んでいて、男なら誰でもそうするように一番端の便器に立ちました。
すると後から一人の目つきの悪い男が入ってきました。ボクはなんとなく「隣に立つんじゃないだろうな・・」と思いました。
男なら誰でも、鴨川のほとりに並ぶカップルのごとく、便器を一つ飛びに立つ暗黙のルールにのっとって、小便器に立つのでしょうか、男はいやな予感通り、男はボクの隣の便器に立ちました。
「気持ち悪いな・・」と男を横目で気にしていると、あろうことか身を乗り出してボクの大事な息子を凝視するではないですか!
ボクは大事な息子を隠すように身をかがめさっさと小用を済ませました。
手を洗いながら正面の鏡で男の動向を気にしていると男は嘗め回すようにボクを眺めトイレから出て行きました。ボクはほっとして「いや~あの目は相当やばいな」と思いながらトイレから出るとなんとあの男が待っているではないですか!
ボクは早足で歩き出すと左後方45度を同じスピードでついてきます。これは危険だ!と感じたボクは踵を返し全力で走りました。50メートルくらい走ったところで後ろを振り返ると男は追いかけてはきませんでしたが、こちらをじっと眺めています。
結局なにごともなく無事ではありました。大事な息子をいやらしい目で嘗め回されたという事実は心の奥にしまいこんで、いそいそと地下街から表の世界へと出て行きました。
しかし、女性はいつもあのような危険なまなざしを受けているかと思うとボクも少々女性を見る目を改めねばと思いました。
怖い話投稿:ホラーテラー ナイスガイさん
作者怖話