短編2
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後輩A君

私の後輩A君はまあ中堅で葬儀も一通りできる奴でした。過去形なのはもう辞めてしまったからです。

その日は昼頃に搬送依頼があり、私は指導の為にA君について行く事にしました。

現場につき浴衣に着替えさせようとA君は必死です。

しかし死後硬直が始まったご遺体はなかなか思い通りにいかず…あげくにA君は

ボキッ

ボギボキ

「あほ!何やってんだ!」

「え?だって入んないんですもん。」

「こんな事教えてないぞ!何考えてんだ!」

「だって折った方が速いし、納棺の時もやり易いからいつも…」

「わかったから早く仏さんに謝れ!」

「…」

A君はふてくされながらも言うことを聞き、手を合わせました。

その葬儀は私がお手伝いさせて頂き、A君には付き人として見学させました。

私はご遺族・奥様に、誤って骨を折ってしまった事を正直に話し、許しを獲て仏様に手を合わせました。

「申し訳ありませんでした。A君も反省しておりますのでどうかお許しください。」

私は心から許しを乞いました…A君を睨み付け今にも襲いかかろうとするご主人を見てしまったので。

A君はしばらくの間大きな手が自分の手足をポキポキ折る夢を見たそうでやつれていました。

そして私はA君を連れお祓いに行きました。

皆さんも若い葬儀屋さんが来たら気を付けて下さいね。貴方の知らないところで

ボキッ

ボキッボギボキ

怖い話投稿:ホラーテラー 葬儀屋さん  

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